12月11日、1年生たちの木工ゼミで制作する倉庫で用いる合成梁の曲げ試験を行いました。
倉庫はスパンが5.1m、奥行きが
4.5mほど、以前につくったものと
同様、手前側を開放するほかは貫でかご状
に結びつける構造体を提案。ここで試験を
する梁は、この5.1mのスパンにかかる
桁で、片流れなので、雪の偏荷重はそれほ
ど心配しなくてもいい。法規上は30cm
だけど、50cmくらいは積もるので、
100kg/m2ほどの荷重は考慮する。
中央に小屋梁を受けるので、負担面積は
12.5m2、したがってこの梁にかかる
集中荷重は約750kgくらいになる。
試験では750kg懸けたときのたわみが
スパンの1/250、20mm以下になる
ことを確認することになる。
この合成梁は、耐震用に開発された
梯子フレーム(フィーレンディール構造)
に倣うもので、束の間に合板を入れて保剛する。
学校の1階駐輪場で、オイルジャッキとロードセル、変位計をセット、データを受けるロガーとパソコンのセッティングが終わり、実験がはじめての1年生はドキドキ。緊張感の中で、実験開始!おそるおそるジャッキを懸けていきますと言いたいところですが、ちょっと待て、梁は思ったよりも柔らかく、あらら、自重ですでに11mmも沈下しています。う〜ん、ちょっとほぞが緩かったんじゃない?
予定の750kgで沈下量はさらに10mm、合計21mm。これってどうなん?
さらに荷重を掛けてみます。1年生君、委細構わず、大胆にレバーを押して行きます。おいおい、ちょっとくらいは加減せえよ、梁が泣いているよ。予定の750kgを超えて、1t、1.5t と上げて行きます。たわみは30mmを超えて、累積では40mm超。そろそろやばいかな。たわみが45mmほどになったところで、ストップ。壊してしまうと、またつくらねばならなくなるから、止めておこう。
思ったよりも柔らかなので、きっと合板が滑っているのだろうと、ビスで縫い付けることに。
これでどうだ?
実験を始めから再開。でも、初期のたわみは先ほどよりも10mmほど大きくなっています。
そこからの結果も、ほぼ同じような雰囲気です。う〜ん、これは原因が別にあるんだね。
きっとほぞが弱くて、フィーレンディール梁のように、剛性がつたわらず、4寸角の梁が
上下に2段あるだけの構造体になっているのかもしれないね。
翌日、今度は2年生たちによる構造実験授業として、再度、同じ実験をやってみた。
すでに全員がグループで土壁の耐力実験を経験しているので、慣れたもの。
実験結果は昨日のものとほぼ同じ。
中央集中荷重の場合の梁に生じる撓みは、公式により、
δ=PL^3/48EI で与えられる。したがって、この梁の曲げ剛性EI は、EI=PL^3/48δ
となる。
10kN(1t )時の 撓みが22mmであることから、 EI=1.26*10^12 Nmm2
この比較のために、脇にあった5寸角の杉柱の曲げ試験もやってみた。
支持点間距離は3m、(内法寸法=2.850mm)
この柱は加工を間違えて交換されたもので、すでに
ほぞ穴が開けられているので、その分は曲げ剛性がち
ょっとだけ落ちるかもしれないが、曲げ剛性は全体で
効くので、さほど影響は大きくないそうだ。
意外に強くて、10kNで5.5mm、15kNで8.0mm
という撓み。
これを同様に計算で解くと、
EI=0.9*10^12 Nmm2
となる。さきほどの剛性梁の曲げ剛性と比較しても、
3/4ほど。これは断面2次モーメントを計算すると、
かなり大きなヤング率となる。そんなにつよい材なのか?
今度は4寸角で同じ実験をしてみる必要がありそうだ。
その剛性を実測してみれば、この合成梁の成果がわか
るだろう。
下に、グラフを添付する。
左が合成梁で、青が1回目、赤が2回目、黄が3回目。
最後がずれているのは、初期設定値を0としている
ので、残留ひずみが出ていることによるものと思われる。
残留歪みを考慮すると、最終的なところがほぼ同じで、
スタートがずれてくるグラフとなる。
右は5寸角の実験結果で、ほぼリニアーな形となっていて、まだ弾性範囲にあることを示している。
(さのはるひと)
倉庫はスパンが5.1m、奥行きが
4.5mほど、以前につくったものと
同様、手前側を開放するほかは貫でかご状
に結びつける構造体を提案。ここで試験を
する梁は、この5.1mのスパンにかかる
桁で、片流れなので、雪の偏荷重はそれほ
ど心配しなくてもいい。法規上は30cm
だけど、50cmくらいは積もるので、
100kg/m2ほどの荷重は考慮する。
中央に小屋梁を受けるので、負担面積は
12.5m2、したがってこの梁にかかる
集中荷重は約750kgくらいになる。
試験では750kg懸けたときのたわみが
スパンの1/250、20mm以下になる
ことを確認することになる。
この合成梁は、耐震用に開発された
梯子フレーム(フィーレンディール構造)
に倣うもので、束の間に合板を入れて保剛する。
学校の1階駐輪場で、オイルジャッキとロードセル、変位計をセット、データを受けるロガーとパソコンのセッティングが終わり、実験がはじめての1年生はドキドキ。緊張感の中で、実験開始!おそるおそるジャッキを懸けていきますと言いたいところですが、ちょっと待て、梁は思ったよりも柔らかく、あらら、自重ですでに11mmも沈下しています。う〜ん、ちょっとほぞが緩かったんじゃない?
予定の750kgで沈下量はさらに10mm、合計21mm。これってどうなん?
さらに荷重を掛けてみます。1年生君、委細構わず、大胆にレバーを押して行きます。おいおい、ちょっとくらいは加減せえよ、梁が泣いているよ。予定の750kgを超えて、1t、1.5t と上げて行きます。たわみは30mmを超えて、累積では40mm超。そろそろやばいかな。たわみが45mmほどになったところで、ストップ。壊してしまうと、またつくらねばならなくなるから、止めておこう。
思ったよりも柔らかなので、きっと合板が滑っているのだろうと、ビスで縫い付けることに。
これでどうだ?
実験を始めから再開。でも、初期のたわみは先ほどよりも10mmほど大きくなっています。
そこからの結果も、ほぼ同じような雰囲気です。う〜ん、これは原因が別にあるんだね。
きっとほぞが弱くて、フィーレンディール梁のように、剛性がつたわらず、4寸角の梁が
上下に2段あるだけの構造体になっているのかもしれないね。
翌日、今度は2年生たちによる構造実験授業として、再度、同じ実験をやってみた。
すでに全員がグループで土壁の耐力実験を経験しているので、慣れたもの。
実験結果は昨日のものとほぼ同じ。
中央集中荷重の場合の梁に生じる撓みは、公式により、
δ=PL^3/48EI で与えられる。したがって、この梁の曲げ剛性EI は、EI=PL^3/48δ
となる。
10kN(1t )時の 撓みが22mmであることから、 EI=1.26*10^12 Nmm2
この比較のために、脇にあった5寸角の杉柱の曲げ試験もやってみた。
支持点間距離は3m、(内法寸法=2.850mm)
この柱は加工を間違えて交換されたもので、すでに
ほぞ穴が開けられているので、その分は曲げ剛性がち
ょっとだけ落ちるかもしれないが、曲げ剛性は全体で
効くので、さほど影響は大きくないそうだ。
意外に強くて、10kNで5.5mm、15kNで8.0mm
という撓み。
これを同様に計算で解くと、
EI=0.9*10^12 Nmm2
となる。さきほどの剛性梁の曲げ剛性と比較しても、
3/4ほど。これは断面2次モーメントを計算すると、
かなり大きなヤング率となる。そんなにつよい材なのか?
今度は4寸角で同じ実験をしてみる必要がありそうだ。
その剛性を実測してみれば、この合成梁の成果がわか
るだろう。
下に、グラフを添付する。
左が合成梁で、青が1回目、赤が2回目、黄が3回目。
最後がずれているのは、初期設定値を0としている
ので、残留ひずみが出ていることによるものと思われる。
残留歪みを考慮すると、最終的なところがほぼ同じで、
スタートがずれてくるグラフとなる。
右は5寸角の実験結果で、ほぼリニアーな形となっていて、まだ弾性範囲にあることを示している。
(さのはるひと)
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