この椋川の里には、田舎で子どもを育てたいと家族もろとも都会から移り住んだ青年がいて、この元気な家族から、村の年寄りたちの意識はいわば内側から少しづつ変わり始めていた。彼の熱意のもと、茅葺きの里に元気を取り戻したいと、幾度も幾度も現地に集まる内に仲間が増えて、どうしたらこの家を残せるか、意見を出し合った。村の人たちにとって、都会の他所もんが勝手なことを言ってるだけだと映るのは仕方ない。われわれはこの村をまもろうと、まず団体をつくり、活動を始めた。すでに、この地域で昔ながらの農業形態を復元し、その自然生態系を調査していた滋賀県立大学の先生やチームが柱となり、牛を使って田を耕す実験、焼き畑、茅刈りなどを行い、村の人たちとの交流を行った。他方で、くだんの家の実測調査を行った。
「椋川の里をまもろう会」会合風景
この家の住人があきらめつつあった理由の一つに、合掌の倒れがあった。冬は雪に埋もれる地域であるが、山を回り込む強い西北の風で雪が偏り、屋根を歪めてしまったようだ。下の実測断面スケッチを見ればその歪みようがわかるだろう。すでに、危険な状態にある。そこで、まず、これ以上倒れない様に、応急の処置として筋交いを入れることにした。とにかく、信用してもらえるまで、よく通い込むことが大事である。そうこうしている内に、ついに、所有者氏はこの家を残すことを決意することとなる。
かくして、村のシンボル的存在であった茅葺きの家は、高島市に寄贈され、村の交流拠点施設として、生まれ変わることとなった。改修工事費が市の予算に計上され、具体的な修繕、改修内容が検討された。工事は昨年の秋から、屋根の茅葺き作業、特に足元回りの耐震補強の作業などが行われ、この春に竣工した。町家研究室は実測調査から改修案の設計、工事の助言などを行ったが、別に、この家のもっとも重要な構造をよく理解するために、構造模型を制作させてもらい、竣工に際して納めた。次回の便で模型製作作業の様子を紹介しよう。(さの 3につづく)
4月24日竣工式を迎えた
「椋川の里をまもろう会」会合風景
この家の住人があきらめつつあった理由の一つに、合掌の倒れがあった。冬は雪に埋もれる地域であるが、山を回り込む強い西北の風で雪が偏り、屋根を歪めてしまったようだ。下の実測断面スケッチを見ればその歪みようがわかるだろう。すでに、危険な状態にある。そこで、まず、これ以上倒れない様に、応急の処置として筋交いを入れることにした。とにかく、信用してもらえるまで、よく通い込むことが大事である。そうこうしている内に、ついに、所有者氏はこの家を残すことを決意することとなる。
かくして、村のシンボル的存在であった茅葺きの家は、高島市に寄贈され、村の交流拠点施設として、生まれ変わることとなった。改修工事費が市の予算に計上され、具体的な修繕、改修内容が検討された。工事は昨年の秋から、屋根の茅葺き作業、特に足元回りの耐震補強の作業などが行われ、この春に竣工した。町家研究室は実測調査から改修案の設計、工事の助言などを行ったが、別に、この家のもっとも重要な構造をよく理解するために、構造模型を制作させてもらい、竣工に際して納めた。次回の便で模型製作作業の様子を紹介しよう。(さの 3につづく)
4月24日竣工式を迎えた
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話は3年前の冬のこと。町家研究室の顧問をお願いしている鈴木有先生に、滋賀県の湖北の椋川(むくがわ)という小さな山村に茅葺き民家がある。それを何とか保存したいので、手伝って欲しいと頼まれた。行ってみれば、12、3軒の家がある集落で、ひときわ大きな茅葺きの家。お住まいの老夫婦の話は、例にもれず、子どもたちは町に出て、もうこの家のお守りもできないので、壊して住みやすい家を新築したいという話。
見たところ比較的新しい農家で、明治14年の上棟とか。この辺りでは「大浦型」と呼ばれているタイプに属する家である。この集落のほとんどがもと茅葺きの家で、その大部分がトタン板を被ってしまっている。半分近くは空き屋状態で、いくつかは廃屋状態。若い人に直して住んでもらいたいとのこと。もっと近けりゃな〜。京都から1時間半なので、大学教授のような身分なら、それも可能かもしれない。(廃屋の一つの屋根を学生君たちと応急処置した話は、以前にこのブログで紹介しました。)
くだんの家のツシ(屋根裏)に昇ってみて驚き!すごい大きな梁組が目の前に!
住んでいる部屋は一番下のところで、中二階はかつて蚕を飼っていたそうな。中央は火袋となっていて、およそ5m×5m×5mの大きな空間。上部には太い松梁が井桁状に噛み合ってしっかりとコアをなしている。「枠の内」とも称される雪国に多い構造形式である。その上に太い合掌組があり、大きな茅屋根を支えている。何とも素晴らしいみごとな構造!こんな家を壊してしまうなんて絶対にイケナイ!本腰を入れて、何とか保存するために仲間に呼びかけて保存活動を始めることとなった。(さの 2につづく)
1年リーダーのコバです。この春休みはほとんど東寺町家の工事に費やすことになりそうです。毎日、泥と格闘しているような気もしますが、いろいろなことを覚えられるのが、収穫です。
ここしばらくは、町家の妻壁の外側の補修です。波トタンを張る予定ですので、下地を打ち付けます。下地は柱の間に縦桟、その上に横桟を打って行きます。桟を取付けながら、壁の厚みを増すために荒土を塗り付けて行きます。かつての壁土がぼろぼろこぼれて下に堆積しているのを掘り出し、それに新土と藁すさを練り混ぜながら、厚塗りします。
隣では、れなさんたち2年生チームが、遅い昼ご飯を食べています。これは食卓ではなくて、やがて床下に入れる掘りごたつの箱なんだそうです。
作業はいよいよ内装の仕上げ
に入り、どんどんきれいになっ
て行きますね。
3月19日、やっと横桟まで打ち上がりました。昨日から暑いくらいの陽気で、汗が目に入ります。2階の壁塗りも何とか出来て、何とか明日からのトタン張り作業ができるかな?
(週末、浜松の実家に帰省していたコバでした)
オザキっす。卒業茶会の稽古やら準備やらで、久しぶりの東寺町家です。高いところ大好き!足場丸太は教室の椅子よりも座り心地がいいっすよ。みんなよくやってくれたね〜。感心感心。後はオレに任せな。トタン張りは2日か、十分十分。
(鳥取に帰っていた余裕のオザキでした。)
サノ: ちゃんとやっているかな?何だか縦桟がまばらだなあ。間が空くと、釘を打つのがたいへんだよ。きちんと縦桟を入れておきなさい。
今晩から雨が降るそうだから、シートを上に懸けて、作業ができるようにしておいてください。足場を濡らすと、滑って危ない。あまり降ったら、作業は中止だよ。
毎日、よく頑張ってくれています。もう少しで、この一連の仕事も一段落。そうしたら、打ち上げしようね!(中国から僕が帰って来てからになるが、よろしく。)
ここしばらくは、町家の妻壁の外側の補修です。波トタンを張る予定ですので、下地を打ち付けます。下地は柱の間に縦桟、その上に横桟を打って行きます。桟を取付けながら、壁の厚みを増すために荒土を塗り付けて行きます。かつての壁土がぼろぼろこぼれて下に堆積しているのを掘り出し、それに新土と藁すさを練り混ぜながら、厚塗りします。
隣では、れなさんたち2年生チームが、遅い昼ご飯を食べています。これは食卓ではなくて、やがて床下に入れる掘りごたつの箱なんだそうです。
作業はいよいよ内装の仕上げ
に入り、どんどんきれいになっ
て行きますね。
3月19日、やっと横桟まで打ち上がりました。昨日から暑いくらいの陽気で、汗が目に入ります。2階の壁塗りも何とか出来て、何とか明日からのトタン張り作業ができるかな?
(週末、浜松の実家に帰省していたコバでした)
オザキっす。卒業茶会の稽古やら準備やらで、久しぶりの東寺町家です。高いところ大好き!足場丸太は教室の椅子よりも座り心地がいいっすよ。みんなよくやってくれたね〜。感心感心。後はオレに任せな。トタン張りは2日か、十分十分。
(鳥取に帰っていた余裕のオザキでした。)
サノ: ちゃんとやっているかな?何だか縦桟がまばらだなあ。間が空くと、釘を打つのがたいへんだよ。きちんと縦桟を入れておきなさい。
今晩から雨が降るそうだから、シートを上に懸けて、作業ができるようにしておいてください。足場を濡らすと、滑って危ない。あまり降ったら、作業は中止だよ。
毎日、よく頑張ってくれています。もう少しで、この一連の仕事も一段落。そうしたら、打ち上げしようね!(中国から僕が帰って来てからになるが、よろしく。)
3月11日、現場を覗いて見た。西棟は1年生たちが西面の外壁を補修塗りをしている様子。正面の欄間は表側も下地が塗られている。内部にある曲がっていた吊床を助っ人のヤマさんに頼んで真っすぐに直してもらった。怖々触っていた1年生とは違って、さっさと歪みを直すヤマさん。
隣の東棟に入ると、ミウラ君の仕事であるトイレの縦羽目板の仕事ぶりが見える。実に丁寧な仕事であるが、なかなか進まない。いつになったら、窓が入るのだろうか?早く便器を据えようよ〜。
二人の助っ人、カツラギ君とヤマさんが、縁側の框と柱を仕込んでいるところ。見れば、立派なジャッキが据えられている。ヤマさんの親方が見に来てくれて、道具を貸してくれたそうだ。いい会社じゃないか。早く現場に戻れるといいね。
3月12日、1年生たちは内部の重ね塗りを済ませ、西面の足 場で壁の補修塗りをしていた。実によく頑張ってくれている。明 日からは、この土壁の保護のために、ここにトタン板を貼るため の下地の桟を打ち付ける作業にとりかかる。水糸を張って、面を 揃えるよう調整しながらの作業だ。彼らならできるだろう。まだ もう少し土壁の厚さを増しておきたいので、縦桟を打った間にい くらか土を増し塗りしてやりたい。週末はお休みにしようね。
お疲れさま。
(さの)
クリです。3月2日は階段の裏の壁の小舞の足りなかったところを編み、荒壁をつけました。天気はいいけれども、風が冷たい日だったな〜。先生が来て差し入れのお茶タイム!さあ、残りを塗るぞっ!
サノです。3月4日、現場に来てみると、やや、本職の大工が来てるゾ? よく見れば、卒業生のカツラギ君じゃないか。ヤマサンまで!聞けば、就職した工務店が仕事が少なくなって、自宅待機なんだそうだ。できればヨソの会社を捜しなさいとまで言われたそうな。かわいそうに。こんな突然の不況で、巷はタイヘンなことになっています。大工は日当なので、いくらかは出してもらえるそうだけれども、困るよな。忙しいところに声を掛けてみます。
一人前の日当は難しいだろうけれども、お施主さんに相談して、いくらか彼らに仕事をしてもらう分、アルバイト代をはずんでもらうことになりました。頼んだよ!(彼らにずっといてもらえるといいね、お施主さん?(-_*)/☆ )
2階ではジョー君が天井の掃除と、破れた天井板を学校向かいの町家から外して来た例の天井板で補修する作業をしていました。うまく行くかな?
1年生のミヤです。よしやまちでベンチをつくっているんだけど、たまに覗きに来てみれば、結構面白いことしてるな〜。正面の欄間部分の穴を埋める作業を手伝ってます。ここでも地を打って、えつりを留めて、小舞を編み込み、土を付ける。竹をなるべく深く既存の土に差し込んで一体にしてやりたいね。がんばるんだぞ、キミたち。
3月5日、1年のヒラです。東寺町家初参加です。何でも裏返し塗りをしているんだそうだ。土を塗るのは汚れるけど、何か楽しい。♪もう塗る所ないの?まだ乾かないので、もうしばらく後で塗り重ねることに。縁側のひどく傷んだ壁をちゃんとしようと、壊してみたら、シロアリにやられていて、どんどん崩れて、全部壁がなくなっちゃった。いいのかな〜?
サノです。現場に来てみれば、なるほど、縁側の袖壁がなくなって、隣にイケイケ状態です。木部はひどく傷んでますな。内側からモルタルを塗っているので、湿気が溜まって、シロアリが好きな状態になってしまったのでしょう。何のことはない、隣の庭に遠回りして入らなくても、ここから簡単に出入り出来たんだ。最初から開けてしまえばよかったね。あはは。(クリ、コバ、テラ あははじゃないっ!)
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