話は3年前の冬のこと。町家研究室の顧問をお願いしている鈴木有先生に、滋賀県の湖北の椋川(むくがわ)という小さな山村に茅葺き民家がある。それを何とか保存したいので、手伝って欲しいと頼まれた。行ってみれば、12、3軒の家がある集落で、ひときわ大きな茅葺きの家。お住まいの老夫婦の話は、例にもれず、子どもたちは町に出て、もうこの家のお守りもできないので、壊して住みやすい家を新築したいという話。
見たところ比較的新しい農家で、明治14年の上棟とか。この辺りでは「大浦型」と呼ばれているタイプに属する家である。この集落のほとんどがもと茅葺きの家で、その大部分がトタン板を被ってしまっている。半分近くは空き屋状態で、いくつかは廃屋状態。若い人に直して住んでもらいたいとのこと。もっと近けりゃな〜。京都から1時間半なので、大学教授のような身分なら、それも可能かもしれない。(廃屋の一つの屋根を学生君たちと応急処置した話は、以前にこのブログで紹介しました。)
くだんの家のツシ(屋根裏)に昇ってみて驚き!すごい大きな梁組が目の前に!
住んでいる部屋は一番下のところで、中二階はかつて蚕を飼っていたそうな。中央は火袋となっていて、およそ5m×5m×5mの大きな空間。上部には太い松梁が井桁状に噛み合ってしっかりとコアをなしている。「枠の内」とも称される雪国に多い構造形式である。その上に太い合掌組があり、大きな茅屋根を支えている。何とも素晴らしいみごとな構造!こんな家を壊してしまうなんて絶対にイケナイ!本腰を入れて、何とか保存するために仲間に呼びかけて保存活動を始めることとなった。(さの 2につづく)
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