まず、NPO法人京町家再生研理事長の大谷孝彦先生に、「町家と新たな町並み景観、現代を豊にする歴史の力」と題した基調講演をいただきました。海外の歴史的な町並み景観を紹介しながら、京都の歴史的な市街地において町家の風情がどう取り込まれていくべきなのか、町家の特徴である屋根や庇の水平性、かげり、また奥行き性、などなどの工夫と可能性について具体的に紹介。京都市が新たに掲げる景観政策においても、規制を生かすためには、市民の側からの運動が重要であり、町家保全、再生、また新たな町家デザインなど、京都の歴史文化に根ざした持続的創造を建築家の役割もそこにあると。
休憩を挟んで4名のパネリストの先生方による10分間のプレゼンです。
建築家吉村篤一氏は、特別立派な町家ではなく、通りを歩いていて気になる普通の町家の保存について、面白い提案をいただきました。気がついたら壊されてしまって、後からもったいない残念だと言い合う前に、何とか皆でこれはいい建物だと思ったら、例えばシールのようなものを勝手に貼っていくというようなことをしてみてはどうだろう?「勝手に京都遺産」みたいなシール貼り運動の提案ですね。
若き建築家魚谷繁礼氏は、町家が街区のおもてと裏を目に見えて結ぶ機能をもっていることに注目、通り景観を健全に保つ意味でも、裏に共通に広がる空き空間を活用することを種々のプロジェクトで提案。とくに、京都市景観まちづくりセンター主催で行われたコンペ「京都まちなかこだわり住宅2007」で実施された家にこめられた工夫を紹介。この家は後の討論の場でも、新たな町家として有効だと評価されました。
大工棟梁木村忠紀氏は、とにかく京都の町家というのは、安くできるよう、目立たぬようつくられたもので、技術的には江戸期に完成されている。木の扱いもろくに知らぬ建築家が似非(えせ)建築を自己表現のためにつくるから、町の景観が悪くなるのは当然だ。建築家はもっと勉強しなくては駄目だと厳しく糾弾。
フリーライター内藤恭子氏は、自身で学生たちとの町家改修に参加しながら、市民の多くは、「なんちゃって町家」に住み、自分の家が保存に値する家であるとは思っていないのではないか、そんな普通の古い木造住宅でも、修繕して住み続けるに値するものであることを、もっとわからせて欲しいと。そのためには、専門家も含めて、食育ならぬ町育が必要であるように思い、今後の雑誌記事にも出して行きたいと。
討論会では、予定されていた時間が押し詰まってしまい、目論まれていたいくつかの論点や会場の声も含めてあまり討論を尽くすことができませんでした。(司会者の裁量不足、申し訳ありませんでした。)ひとつは魚谷氏の提案した住宅が、伝統町家のスピリットを今に生かすものであること、また会場からの意見にも認められたように、地域ごとの規制は有効であるが、その境界付近では規制のあるなしでずいぶん違った景観が生まれつつあることから、境界付近では、緩やかな移行の工夫が必要であること、などなどが採り上げられました。
せっかくのメンバーでしたので、ぜひまた機会を見つけて討論の続きを行いたく思いますが、皆さん、いずれもあちこちで話されている方たちですので、ぜひ、これからも続けて議論を展開して行ってもらいたいものです。ここでいただきました論点は、学校でも学生たちと話し合いながら育てて行きたく思います。
みなさま、年末に近い、多忙な時期にご準備ご出席いただき、ありがとうございました。
(残念な司会のさのでした)
問題は、これをどうやって留めるかです。通常は板を釘打ちし、押さえ桟を釘の上に置いて隠すのでしょうけれども、その桟を留めるのに釘が出てきます。結局、屋根全体を仮組して、内部からビスで引っ張り留めようということになりました。うまく行くかな?(旭川から来たミウラでした)
建築科1年のなるなるです。
例年の京北、室谷(しったん)での茅刈りイベントの報告です。今年はサノ先生以下、学生5名が参加しました。学校から1時間あまりのところに、山奥の寂しい集落があり、茅葺きの家が2、3軒あるようです。谷のかつては田畑だったところが茅場になっていて、ススキが一面になびいていました。茅葺きを計画中の家から煙が立ち上っているのがいいなあ。一般参加のファミリーやスタッフのメンバーも揃って、出立式。さあ、鎌を持って、出陣!
毎年刈ることで、細くて強いいい茅になるのだそうです。刈る者と紐でまとめる者とに別れて、作業開始。あいにくの時雨模様。汗をかいたり、濡れたり、厄介です。しばらく刈って行くと、目の前に茅の玉が。
サノ先生が、茅ネズミの巣だよと教えてくれました。中を覗いてみると、空っぽ。大抵は空の巣だそうです。その内、あちこちに巣が見えて来ます。あ、ネズミ発見!親指の先ほどもない小さく可愛らしい茅ネズミのです。本当に可愛い!これだけでも、今日、来た甲斐がありました。
昼をとうに過ぎて、お腹が空いたよ~。皆で収穫した茅の束をトラックまで運び、昼食に戻りました。家ではお母さんが、おくどさんでなにやら忙しそうにしています。皆で手伝って、芋粥と汁物のごはんになりました。と、とっても美味しいですっ!サノ先生やレナさんが毎年楽しみにしていると言ってたのは、この味なんだと納得です。
昼食後、また茅場に復帰、もくもくと作業して、すべての茅を刈り取り、運びました。今日はざっと180束ほどでしょうか。家の前に茅の塔をつくります。もう陽が落ちて、暗くなってしまいましたが、何とかまとめて、やれやれ、作業終了!囲炉裏を囲んでお茶をいただき、京都に戻りました。みなさん、お疲れさまでした。(一日よく働いたなるなるの報告でした)
連休が明けて、先週草案の発表会をしたカフェ改修設計のプレゼンテーションの日がやって来ました。みな、眠いでしょう、僕も眠いっす。失礼しました。ラチです。発表の朝、さっそく遅刻しました。夕べ、遅くまで模型をつくっていたので。(言い訳っすね、すんません。)さっそく、採点票を手にとって、みなのを見て回ります。案外、みんなちゃんとやって来ているので、驚きです。
サノ先生、ウオヤ先生が入選作品を読み上げ、8人の入選者が順々に発表して行きます。みな、なかなか面白いっすね。僕も選ばれました。えへへ、嬉しいっす。ここではその内の5名の発表風景を。
今回の課題はショートプログラムなんだそうで、短期間にまとめて発表します。図面は最低限のもので、デザインやコンセプトが重視されているようです。僕は非日常をテーマに、回りを樹で埋めて、建物を半ば廃墟のようなイメージで始めましたが、内部空間をいろいろ考えている内に、面白くなって、廃墟ののんびりした時間が流れる空間というのとは違ったものになってしまいました。次の美術館に生かせればと思っています。
(特選3名にも選ばれて鼻タカダカのラチでした!)
今回は二つのグループこちらのグループはコワくてヤサシいウオヤ先生の前でひとりひとり発表しています。ちょっとした緊張感の中、スケッチをもとに思い思いのカフェを語ってもらいました。計画やデザイン、とくにねらいを明確にすることなど、先生からアドバイスしてもらいます。
この課題は短期間のプログラムで、来週には最終的なプレゼンテーションとなります。1週間の内にまとめてプレゼンを制作してもらわなくてはなりません。その次にはすぐに美術館の課題が始まります。イベントも多くとても忙しい頃ですが、学生諸君、がんばってください。
18日の午後は木工実習授業。最近は木工加工技術の応用と精度を上げようと、簡単なお風呂の椅子を製作しています。この日は加工3回目で、そろそろ全体の形ができあがる頃になります。思ったよりもみんな苦戦していますが、大丈夫、多少見てくれが悪くても、座れるから。
この風呂椅子の後にはグループでベンチをつくることになっています。 (さの)
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