建築科1年前期の設計製図は木造を学んでいますが、その締めくくりとして、6戸からなる一団の郊外住宅地に独立住宅を設計するという課題に取り組んでもらっています。19日にその発表会を行いました。
提出図面は配置図兼平面図、立面、断面図、断面詳細図、構造図、それに外観模型とコンセプトを示すプレゼンテーションです。皆で、それぞれの作品を見て、採点します。全員の作品をつぶさに見て、採点が終わって、それぞれのグループの6戸からなる街並みを評価します。個々の家の設計の面白さだけではなく、街並をどれだけ意識できるかが、これからの住宅設計には重要だからです。
不思議に6戸を並べると、街並の個性や優劣が見えて来ます。皆の意見を求めてみても、そう見当違いな意見はありません。家と家との間に建てられたブロック塀なんか無い方がいいね、など。こうしたちょっとした街区設計への意識も2年などで演習したいものです。
午後から、10名あまりの入選作品について、発表してもらいました。単に優れた評価を得たものばかりではなく、興味深い作品、この人の話を聞いてみたいと思われる学生君に前に出てもらい、思いを聞いて行きます。後期の美術館では、プロジェクターを用いて発表してもらいますが、前期では描いたもので語ってもらいます。会場には2年生の姿も。何点か、今年を代表する作品について、あらためてこのNLで紹介しましょう。 (さのはるひと)
提出図面は配置図兼平面図、立面、断面図、断面詳細図、構造図、それに外観模型とコンセプトを示すプレゼンテーションです。皆で、それぞれの作品を見て、採点します。全員の作品をつぶさに見て、採点が終わって、それぞれのグループの6戸からなる街並みを評価します。個々の家の設計の面白さだけではなく、街並をどれだけ意識できるかが、これからの住宅設計には重要だからです。
不思議に6戸を並べると、街並の個性や優劣が見えて来ます。皆の意見を求めてみても、そう見当違いな意見はありません。家と家との間に建てられたブロック塀なんか無い方がいいね、など。こうしたちょっとした街区設計への意識も2年などで演習したいものです。
午後から、10名あまりの入選作品について、発表してもらいました。単に優れた評価を得たものばかりではなく、興味深い作品、この人の話を聞いてみたいと思われる学生君に前に出てもらい、思いを聞いて行きます。後期の美術館では、プロジェクターを用いて発表してもらいますが、前期では描いたもので語ってもらいます。会場には2年生の姿も。何点か、今年を代表する作品について、あらためてこのNLで紹介しましょう。 (さのはるひと)
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建築科2年の授業で町家や民家などの伝統的な木造住宅の構造を学んでいますが、後期には、それを受けて真壁の水平荷重に対する耐力を実験する予定です。その前に、一昨年来、実験を行なっている竹小舞既製品(バンブーネット:愛知/福 島製作所製)を二重に張るダブルバンブーネット土壁の実験を行いました。
昨年の実験では、貫を挟んで二重にバンブーネットを張ったものに、荒壁土を塗り込んだ のですが、十分に土を充填できず、思った様な耐力が出ませんでした。その反省から、1層のバンブーネットに土を付け、その上からもう1層のバンブーネットを張って押さえ込むという工法により、しっかり間に土を充填した土壁を製作しました。。
画像は実験風景です。かなり変形していますね。1/30 rad、水平変位で9cmほどの変形となっています。グラフにあるように、12kNほどの荷重に耐えています。昨年の試験体が青、今年のものが黄色です。ずいぶん耐力が上がっていることがわかりますね。初期の小さい変形の場合にはあまり変わらないのですが、大きな荷重、大きな変形になってきてずいぶん差が出てきています。これは最初は表塗りの層も耐力に寄与しているのが、1/60変形あたりから内側の壁土の圧縮変形が重要になってきているからと思われます。今回の土壁では、壁倍率がおよそ2.5倍ほどになっていました。
下の画像では、左が1/30rad変形時の試験体下部の様子です。安全限界と言っている辺りですね。うっすらクラックが見えて来ていますが、まだまだ大丈夫です。中央の写真がジャッキで押せる限界の1/11rad変形時のもの。表面の中塗 り土は大きなひび割れが入っていますが、中の土がまだまだよく効いていて、耐力が落ちていません。最大耐力約13kNを出しています。右の画像は、表面の中塗り土を剥がしてみたところです。バンブーネットはそのまま止まっていて、乱れがありません。間の土の様子はよくわかりませんが、上下の貫の圧縮に耐えていると思われます。
現実には、伝統町家のような柔らかな構造では、こんな力がかかるかどうかわかりませんが、また、込み栓で止められた接合部が大きな力に耐えられないとは思いますが、金物などで柱脚固定をするような現代的な工法で伝統土壁を設けたい場合には、有効な方法と言えるでしょう。とても高い変形性能が伝統木構造の補強として好ましいように思います。 (さのはるひと)
昨年の実験では、貫を挟んで二重にバンブーネットを張ったものに、荒壁土を塗り込んだ のですが、十分に土を充填できず、思った様な耐力が出ませんでした。その反省から、1層のバンブーネットに土を付け、その上からもう1層のバンブーネットを張って押さえ込むという工法により、しっかり間に土を充填した土壁を製作しました。。
画像は実験風景です。かなり変形していますね。1/30 rad、水平変位で9cmほどの変形となっています。グラフにあるように、12kNほどの荷重に耐えています。昨年の試験体が青、今年のものが黄色です。ずいぶん耐力が上がっていることがわかりますね。初期の小さい変形の場合にはあまり変わらないのですが、大きな荷重、大きな変形になってきてずいぶん差が出てきています。これは最初は表塗りの層も耐力に寄与しているのが、1/60変形あたりから内側の壁土の圧縮変形が重要になってきているからと思われます。今回の土壁では、壁倍率がおよそ2.5倍ほどになっていました。
下の画像では、左が1/30rad変形時の試験体下部の様子です。安全限界と言っている辺りですね。うっすらクラックが見えて来ていますが、まだまだ大丈夫です。中央の写真がジャッキで押せる限界の1/11rad変形時のもの。表面の中塗 り土は大きなひび割れが入っていますが、中の土がまだまだよく効いていて、耐力が落ちていません。最大耐力約13kNを出しています。右の画像は、表面の中塗り土を剥がしてみたところです。バンブーネットはそのまま止まっていて、乱れがありません。間の土の様子はよくわかりませんが、上下の貫の圧縮に耐えていると思われます。
現実には、伝統町家のような柔らかな構造では、こんな力がかかるかどうかわかりませんが、また、込み栓で止められた接合部が大きな力に耐えられないとは思いますが、金物などで柱脚固定をするような現代的な工法で伝統土壁を設けたい場合には、有効な方法と言えるでしょう。とても高い変形性能が伝統木構造の補強として好ましいように思います。 (さのはるひと)
コーダイです。久し振りです!去年、さの先生に付いて滋賀県の山奥の茅葺き民家のお手伝いをしました。合掌材の安定のための筋交い補強工事です。今年、いよいよこの民家の茅を全面葺き直す作業にかかります。そのために、茅刈りや実測調査などを手伝って来ましたが、ちょうどこの夏に、朽木の伐採現場から、屋根の棟に使う杉皮をいただけることになって、皮剥ぎにさの先生と一緒に行くことになりました。画像の右上は去年のものです。
滋賀県の茅葺き民家の棟は杉皮を折り曲げて、横に渡した竹で縫い込むものです。京都府では上に栗材のウマと呼ばれる置き千木で押さえるのですが、一山越えるだけでがらっとスタイルが変わってしまうのが面白いです。この家は大きくて、軒の長さが10mを越えています。3枚重ねにするのだそうですから、面積にして、70m2ほどが必要になります。
さて、朽木の伐採現場に行くと、凄腕の林業家さんたちが次々に80年生の大きな杉を倒しているところです。すべて葉枯らしという昔からの伐り方だそうで、山側に倒します。木は谷側に枝葉を多く付けているので、どうしても谷側に倒れますが、ワイヤーで引っ張るなどして、山側に倒すわけです。枝葉をつけたまま3ヶ月ほど置いておくと、木は内部の水分を蒸散作用で出してしまいますから、乾燥には都合がいいそうです。手間がかかるので、最近は減ってしまったそうですが、今でも、山持ちさんが自分の家に使う材を伐り出すときには、そうしているそうです。ちょうど稲刈りで、自分の家で食べる分だけはコンバインで刈らず、手で刈って天日乾燥させるのと同じですね。さらに乾燥を早めるために、今回はすべて皮を剥くことになっているのだそうです。
皮剥きはさらにたいへんな作業ですが、伐採する際に、次に倒す木が重なって倒れることがあるために、一本一本その都度、皮を剥がなくてはなりません。単に皮を剥ぐだけなら、短く切ってどんどん剥けばいいのですが、民家の棟包みに用いる材は6尺取りするので、2mごとに切って丁寧に剥いてもらいます。このお手伝いをしに行ったのです。
木には伐り旬というのがあって、およそ盆を過ぎる今頃から伐りだします。もうしばらくすると、木は水をまったく揚げなくなり、皮は落ち着いて一体となり、簡単に剥がせません。今頃がちょうど木も伐れて、杉皮も取れる頃合いなんだそうです。木によって、簡単にきれいに剥がせるものと、そうでないものとがあるのも、そんな端境期にあるということを示しているのでしょう。皮剥作業は楽しいのですが、厚くて素晴らしい大きな皮を丸めて縄で縛り、これを下の林道まで担いで運ばなくてはなりません。さの先生が僕を選んだ理由がよくわかりました。僕だってきつい山道を上り下りするのはエライです!
でも、前日は70を越えた方が運んでいたと聞いて、20歳の信州男児がへたっているわけにはいきません。けれど、さの先生、ヒルが怖いよう!
(信州男児のコーダイでした)
コーダイ君、ヒサエネーサンの頑張りで、軽トラックに二杯分、前日の分と合わせて、何とか必要な分量に余裕をもって集めることができました。感謝感謝!家の前で選別し、広げて合わせながら、重ねて置きます。このまま乾燥させないと、くるんと焼きイカのように巻いてしまいます。次は茅葺きを手伝いましょうね!
(さのはるひと)
滋賀県の茅葺き民家の棟は杉皮を折り曲げて、横に渡した竹で縫い込むものです。京都府では上に栗材のウマと呼ばれる置き千木で押さえるのですが、一山越えるだけでがらっとスタイルが変わってしまうのが面白いです。この家は大きくて、軒の長さが10mを越えています。3枚重ねにするのだそうですから、面積にして、70m2ほどが必要になります。
さて、朽木の伐採現場に行くと、凄腕の林業家さんたちが次々に80年生の大きな杉を倒しているところです。すべて葉枯らしという昔からの伐り方だそうで、山側に倒します。木は谷側に枝葉を多く付けているので、どうしても谷側に倒れますが、ワイヤーで引っ張るなどして、山側に倒すわけです。枝葉をつけたまま3ヶ月ほど置いておくと、木は内部の水分を蒸散作用で出してしまいますから、乾燥には都合がいいそうです。手間がかかるので、最近は減ってしまったそうですが、今でも、山持ちさんが自分の家に使う材を伐り出すときには、そうしているそうです。ちょうど稲刈りで、自分の家で食べる分だけはコンバインで刈らず、手で刈って天日乾燥させるのと同じですね。さらに乾燥を早めるために、今回はすべて皮を剥くことになっているのだそうです。
皮剥きはさらにたいへんな作業ですが、伐採する際に、次に倒す木が重なって倒れることがあるために、一本一本その都度、皮を剥がなくてはなりません。単に皮を剥ぐだけなら、短く切ってどんどん剥けばいいのですが、民家の棟包みに用いる材は6尺取りするので、2mごとに切って丁寧に剥いてもらいます。このお手伝いをしに行ったのです。
木には伐り旬というのがあって、およそ盆を過ぎる今頃から伐りだします。もうしばらくすると、木は水をまったく揚げなくなり、皮は落ち着いて一体となり、簡単に剥がせません。今頃がちょうど木も伐れて、杉皮も取れる頃合いなんだそうです。木によって、簡単にきれいに剥がせるものと、そうでないものとがあるのも、そんな端境期にあるということを示しているのでしょう。皮剥作業は楽しいのですが、厚くて素晴らしい大きな皮を丸めて縄で縛り、これを下の林道まで担いで運ばなくてはなりません。さの先生が僕を選んだ理由がよくわかりました。僕だってきつい山道を上り下りするのはエライです!
でも、前日は70を越えた方が運んでいたと聞いて、20歳の信州男児がへたっているわけにはいきません。けれど、さの先生、ヒルが怖いよう!
(信州男児のコーダイでした)
コーダイ君、ヒサエネーサンの頑張りで、軽トラックに二杯分、前日の分と合わせて、何とか必要な分量に余裕をもって集めることができました。感謝感謝!家の前で選別し、広げて合わせながら、重ねて置きます。このまま乾燥させないと、くるんと焼きイカのように巻いてしまいます。次は茅葺きを手伝いましょうね!
(さのはるひと)
小塩木匠塾後半の恒例行事、ご近所さん招待パーティを20日に開きました。何とかこの日までに庇の垂木まで打ち上げたかったのですが、あちこち納まりに難があって、ついにあきらめ、野天の会場となりました。日の暮れになって、ご近所のおばあさんたちやファミリーが続々と集まりましたが、まだ会場が出来上がりません。ゴメンナサイ!ご近所さん12名を迎えて総勢27名のパーティとなりました。
この日のメニューは、スペアリブ、タコライス、生春巻き、揚げナスガーリックソース、夏野菜のムサカ、パンプキンの冷製スープ、ポテトサラダ、レモンゼリー、ピーナッツバターケーキ、フルーツポンチ。さの先生の奥様の指導のもと、皆でがんばってつくりました。どうやら皆さんに喜んでいただけたようです。ヨカッタヨカッタ。
宴の料理が進む間に、外はぐんぐん涼しくなって、19℃を割り込む寒さになって、寒いよ~。スープは冷製にするんじゃなかったな~。デザートの後には大阪コンビによるたこ焼きタイム。これが温かくて好評のようでした。皆さん寒い寒いと言いながら、遅くまで楽しんで過ごされたようです。この3日間台所に立ち続けた私は、ほっとしたところにどっと疲れが出たのか、気付いたら、一人家の中で寝ておりました。みんな、お疲れさま!
(不覚をとったミヤタケネーサンでした)
8月23日、京都の町中は各町内で地蔵盆の行事が楽しく行われます。学校の駐車場もこの町内の祭り会場となっていますが、土曜日は建築学会近畿支部との共催事業「親と子の都市と建築教室」として、伝統の土壁の木舞編みと荒壁塗りを行っています。今年は6回目。7組の親子さんが参加し、学会の委員さんたち、大工と左官の棟梁、大学や学校の学生たちがスタッフとして、例年のようにわいわい楽しく土壁つくりを行いました。
今年は初めて、昨年に引き続き挑戦?楽しみに来てくれた親子さん、ベテランの左官屋さんのおじいちゃんと一緒に参加してくれたファミリー、気乗りのしないお子さんを連れて参加したという町家ファンのお母さん、などなど、なかなか愉快なメンバーでした。そんなこともあるのか、例年になく皆さん仕事が速く、実にスムーズに両面塗りの壁が出来上がりました。
皆で後かたづけをして、左官棟梁が用意してくれた色土型抜きによる工作も手掛け、全員で記念写真です。またよしやまちの町家に戻り、お菓子とお茶で一服の後、委員長から「ちびっこ棟梁認定書」の授与式がありました。みなさんの感想は、「壁土が重かった」「思ったよりもしんどい」「楽しかった」「来年も参加したい」「今度は子ども抜きでやりたい」などなど、楽しい雰囲気の中で行事は無事終了しました。
学会の委員、事務局のみなさま、大工組合、左官組合を代表して指導をしていただいたお二人の棟梁、大学や学校の学生さんたちに心から感謝いたします。みなさん、お疲れさまでした。また来年、一緒に楽しみましょう! (さのはるひと)
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