受付の床下地を中西君がこしらえています。ここは厚みが12mmのガス温水式床暖房パネルがしつらえられるので、その分、周囲より下げて断熱材を納めねばなりません。断熱材は屋根や外壁と同様、厚み20mmのフォレストボードです。8mm分は板で調整します。
2月末には、こんな風にパネルが仕込まれました。パネルに付いている小根太に合わせて根太を打っていますね。この後、床板(杉厚さ15mm)が張られて完成です。
これは2階の床の上に仕込まれた電線です。この床は厚さ30mmで、そのまま1階の天井板になっています。そこにシーリング照明の配線が走っています。
この配線を交わしながら、根太を打って行きます。配線を跨ぐ箇所には釘を打たないように注意マークを書きながら、作業を進めます。配線は屋根の野地と同様、厚さ20mmのフォレストボードを二重に張る際に調整します。
ここではフォレストボードは断熱材としてよりも、床面での吸音材として機能してもらいます。今回は実験的に、根太間に入れるところと、根太の下に厚さ10mmのフォレストボードを敷くというやり方の2種類を試しています。奥の間の上の部分が、根太下に敷くやり方です。やはり、上の震動は下に伝わりにくくなっていると実感されます。後で、床がふわふわしないか、釘が抜けて来て床鳴りの原因になるかどうか、様子を見ることにしましょう。
(さのはるひと)
庭では内藤さんたちが靴脱ぎ石を据えています。手前に見えているもともと敷地にあった靴脱ぎ石が合わず、この石は他所から買って来てもらいました。
「もう少し家に寄せてくださいな。少し高めにしましょう。」
2度もやり直してもらいました。
大きく重い石を運び入れるためにレッカーが用意されたので、ついでに、植木も入れることに。
仮植とはいっても、およその見当をつけて据えてみます。
今回の庭のイメージは、あまり定式にこだわらず、極力自然な山の中にいるような感じにできないかと注文を出しています。大きめのモミジが空を埋め、木陰に苔がいい感じに見えるようにと。
版築の壁が強いので、用意していた灯籠はやめにして、つくばいをメインにすることに。
モミジの位置を内藤さんたちが縁側から眺めています。3本を考えていたモミジを2本に減らして、モチの樹を隅に植えています。つくばいの脇にツバキを。具体的な位置は造園のお二人にお任せしました。
「うん、これでいいんだよな」
なんて言い合っているのでしょうか。
庭の傍らでは、中西君たちが刻んでいた塀を組み立てています。
ここまで来ると、どうすればいいのか、ずいぶん飲み込めていて、てきぱきとやってくれています。
頼もしいね。
版築の棟木との接続部分です。きちんと寸法が取れているようで、ちゃんと合いました。よかった。
貫を仕込み、えつり竹を納め、小舞竹を編んで行きます。すっかり手慣れていて、どんどん進みます。
今回はシュロ縄をつかって編んでいます。驚いたことに、シュロ縄の方が安いのです。長さも自分の好きなサイズにできるし、編みやすいと、学生君たちにも好評でした。
小舞をさっと編んだ勢いに乗せて、次の日には荒壁を付けています。
おいおい、まだ瓦も載ってないよ。「大丈夫です。シートを掛けておきますから。」
なるほど了解です。1年生も手伝いに来てくれていますね。
造園屋さんによる板石の配置。
「う〜ん、これはダメだなあ〜。」
前に板石をつかって庭をという絵を見せたこともあったので、それでこんな風にやってくれたのでしょうけれども、いかにせん、石が大きすぎて、庭一杯になってしまっています。
こんな風にならないかい?と、パソコンでおよそのイメージを描いてみました。
黄色い砂利は、雨落ちです。小さめの飛び石をつかってみようと。
せっかくがんばって敷いてくれた板石を剥がしてもらいました。ごめんなさい。
でも、この飛び石も変ですね。もうちょっと見当してみましょう。
(さのはるひと)
2月も半ばを過ぎて、現場では中塗り作業をどんどん進めています。左官仕事については、京都府左官技能専修学院という左官組合さんの学校のご協力をいただいています。すでに荒壁塗りから山本学院長さんには何度もお越しいただき、指導をいただいています。この日は二階の中塗りの指導をしてもらいました。
ここまでは何となく塗ってきたのですが、プロは出来上がりの質を問われるので、まずはチリ墨と言って、柱から壁面までの下がり寸法をきちんと揃えるために、墨を引くことから教わりました。寸法を採る定規もあるのですが、狭い場所で墨を打つ左官屋さん専門の墨坪があります。
写真ではちょっとわかりにくいですが、大工が使う墨坪よりも2回りくらい小さな可愛い墨坪で、糸口に細長いくちばしがついていますね。これで狭いところに糸を押さえて、ぱしんと墨を打ちます。やってみると、けっこう身体の使いようが難しいです。結局、学生君たちは慣れた鉛筆で線を引いていました。
チリ墨を引いたら、次は養生用の紙テープを貼ります。あまり馴染みのない赤い色の紙テープで、左官専門のすぐれものらしいです。テープを貼ったところで、中塗り土を捏ねて、まずは下塗りをします。それがある程度乾いたところで、仕上塗り(中塗り仕上)を二度塗りで塗って行きます。下地用の土も仕上用の土も基本的には同じ土ですが、仕上げ用は水をかなり加えてびしゃびしゃにしたもので薄く塗っていきます。
1階の座敷内はすべて仕上を左官学校の先生にお願いしています。もともとは左官学校の生徒さんたちでとお願いしたものですが、学校の授業は手一杯で、指導の先生方が来られて塗るということに。下塗りは長谷川さんが塗られました。とてもゆるゆると塗って行きますが、何と見事な壁になるので、驚いてみんなで見入ってしまいます。
仕上塗りは、柔和な長谷川さんではなく、繊細で厳しい山本忠和さんというこわい先生が来られるので、みなさん、それなりに注意してくださいと、学院長さんのお話が。ちょうどその頃、新聞で今年度の「名工」に選ばれた方と名前を知っていた方です。
ある日、そのこわい山本忠和さんが壁を塗っておられました。あたりに何とも言えぬ緊張感が漂っています。みんな作業もできず、ただ、じっと見つめておりました。何とも見事に壁が塗られて行きます。最小限の手数で仕上げるぞという気迫のようなものが感じられます。きびきびとしたスピード感のある塗り様は、やわらかなコテ使いの長谷川さんとは対照的と言ってもいいでしょうか。この日、現場の空気ががらりと変わりました。
「どんな仕事でも、やる時はおれは本気やねん。」と言い切る忠和さんは、何と、建築専門学校の卒業生(夜間部)でした。中塗り仕上にも、お寺の瓦下に使われていた葺き土を砕いて、塗り土に仕上げたものだと。とてもいい黒っぽい聚落土だと。すごく密実で、砕くのにもたいへんな手間がかかったのだと。ご配慮をありがとうございます。乾いたら、どんな風に上がるのか、楽しみです。
(さのはるひと)
昨日の版築作業の様子が朝日新聞に紹介されていました。親子でこの日も参加された三宅さんたちも大喜びでした。記者の合田さんに感謝です。
陽は当っても、風が冷たい日でした。ずいぶん高いところで搗いていますね。落ちないようにしてくださいな。(誰も落ちませんでした。)
最上段には棟木が仕込まれます。金輪継ぎできちんと納める多田棟梁。その下にはすでに束が仕込まれていて、高さを揃えて切っています。棟木をその束に留めて、また搗き固めて土に埋めて行きます。
この日の3時のおやつは連日のおぜんざいに加えて、甘酒も。みんなよく食べ、飲んでくれました。かわいい赤ちゃん連れのお母さんも参加です。
最後の型枠を外す頃には、すっかり陽も落ちて、薄暗くなりつつありました。今までのおお〜っという歓声とは違って、今日は落ち着いて静かな感動でしたね。これで版築作業はおしまい。みなさんご苦労様でした。どんなお庭になるか、完成をおたのしみに。
(さのはるひと)
2日目、奈良県からもベテランの建築士さん大工さん、文化財の修復に携わった先生までお出でいただき、指導をしてもらうことができました。今日はぐっと大人びたスタートです。
朝日を浴びながらの版築作業。親子さんの参加もありますが、どんどん進みます。
午後、早くも上まで打ち上がり、型枠を外しにかかりました。出来上がりはどんなかな?
おおっ!やはり感動です。きれいに木目が出ていますね。みな、めいめいに写真撮影。
その頃、家の中ではお餅を焼いて、おぜんざいを用意していました。3時のおやつは熱々のおぜんざいです。皆、お代わりをしてふうふういただいていました。
おぜんざいが終わって、畑中久美子さんの版築セミナーが始まりました。版築に関する基本的な知識、楽しみ、文化、海外の版築建築事例の紹介などなど、とても興味深く、わかりやすいと好評でした。ぜひ、市民講座でもお出でいただき、講演をしてもらいましょう。
(この日は用事があって午後から抜けたさのでした)
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