3月に入り、もう竣工予定まで半月もありません。急いでまだ仕上がっていない2階の壁を仕上げていかねば。高い小屋裏部分は足場を設けて、わが小栗土壁隊長が毎日、励んでくれています。4、5日に左官学校の生徒さんたちが大勢来てくれてどんどん塗っていただけるので、足場が必要なところから塗って行きます。そうそう、中塗り土もたくさん作っておかねば。
3月4日、左官技能専修学院の先生と生徒たちが来てくださいました。女性も二人混じっています。先生はおなじみの林さんと佐伯さん。それに下では山本忠和さんもおられます。みんなでどんどん塗り上げてくださいました。
これも授業の一貫なんだそうです。忙しい授業プログラムに突っ込んでくださいました。ご協力に感謝いたします。それにしても、みんな上手いなあ。さすがです。
下でも指導の先生の厳しいまなざしが。こういう学校では、指導の先生たちがそれぞれに自分のやり方をもっているでしょうから、こういう場では、その勝負も併せて見られるのかもしれません。技能の世界こその厳しさでしょうね。
夕方になり、急いで片付けながらも、みんなで記念写真です。建築学校は左側の8名、左官学校は13名です。みなさん、お疲れさまでした。5年間だけですが、みなさんの手の痕が残って訪れる人の目に映ります。プロになられるみなさんにとってもよい記念になることを祈っています。
参加した生徒さんたちみなさんとても喜んでくれたと後で伺い、ほっとしています。今回のプロジェクトでは、建築学校の生徒たちだけでなく、左官も屋根も畳も造園も、若いこれからの人たちに思いっきりやって欲しく思っておりました。それが実現できて、本当に嬉しく思います。ありがとうございました。
(さの)
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2月26日、左官の山本忠和さんがミキサーで土を練っています。鮮やかなオレンジ色の土は「稲荷山黄土」という種類のもので、尾崎色土店さんでも高級品だそうです。
3月1日、黄土を塗る忠和さん。おお、きれい!通る人が思わず見て行きます。
2000年に学校のよしやまち町家をやった折りにも、黄土を表に塗りましたが、あの黄土とはまた違う種類なんだそうです。でも、昔の黄土とは違って、どうしてもサビが出て来て、色落ちしてしまうとのこと。
裏になる北面には、いわゆる「京白」という種類の土をやってみようと。忠和さんが、3種類のサンプルをつくってくれました。右の白っぽいのは白土に漆喰を3割ほど混ぜたもの、中央は白土のみ、左は白土に糊を混ぜたものだそうです。できれば、混ぜ物なしの白土だけでやりたいと思いましたが、水を掛けてみると、やや表面の土が流れ出ます。強い横殴りの雨のときにはかなり流れ出る可能性があると。ノリを混ぜたもので行こうということになりました。
尾崎色土店の尾崎親子が中塗り土を持ってきてくれました。自慢の稲荷山黄土の前で記念写真です。こんな素晴らしい土をいつまでもキープしておいて欲しいものです。もうなかなか採取できないと聞きます。そのために高価になり、いよいよ売れなくなって来ていると。こういう時にしっかり宣伝して、みなさんにもっと使ってもらいましょう。微力ながら、応援します。
(さの)
二月も末になりました。もうあまり時間がありませんが、春休みに入って、学生君たちも就職先に出て行った者以外は毎日のように出勤して、工事を進めてもらっています。まずは庭の塀の瓦が載る屋根の下地です。
版築の土塀は高さを5尺ほどに押さえていたのですが、やはり木軸の塀に比べてずいぶん低いので、束立てして棟木を揚げることに。
中西・大下ツートップが頑張って束と棟木をすぐさま作ってくれました。さっそく、納めてくれています。束の間には杉板を挟んでいます。簡単なようで、両端をすでに立っている柱にほぞ差しするのですから、継手部分で工夫が必要になります。
森田君たちが出桁を納めてくれている間に、中西君が瓦のエンドを納めるえぶり板という部材を加工しています。微妙な曲線を削れるかな?
土壁隊長の小栗君が出桁を納めています。
設計チームの日下部さんが手伝いに来てくれました。木部にアマニ油を塗ってくれています。
ご協力ありがとう。
おかげさまで何とか塀の屋根瓦が載りそうです。後は瓦屋さんの出番ですね。
おっと、細かな焼き板の詰めものが残っていました。大澤さん、森田君、よろしく!
(さのはるひと)
受付の床下地を中西君がこしらえています。ここは厚みが12mmのガス温水式床暖房パネルがしつらえられるので、その分、周囲より下げて断熱材を納めねばなりません。断熱材は屋根や外壁と同様、厚み20mmのフォレストボードです。8mm分は板で調整します。
2月末には、こんな風にパネルが仕込まれました。パネルに付いている小根太に合わせて根太を打っていますね。この後、床板(杉厚さ15mm)が張られて完成です。
これは2階の床の上に仕込まれた電線です。この床は厚さ30mmで、そのまま1階の天井板になっています。そこにシーリング照明の配線が走っています。
この配線を交わしながら、根太を打って行きます。配線を跨ぐ箇所には釘を打たないように注意マークを書きながら、作業を進めます。配線は屋根の野地と同様、厚さ20mmのフォレストボードを二重に張る際に調整します。
ここではフォレストボードは断熱材としてよりも、床面での吸音材として機能してもらいます。今回は実験的に、根太間に入れるところと、根太の下に厚さ10mmのフォレストボードを敷くというやり方の2種類を試しています。奥の間の上の部分が、根太下に敷くやり方です。やはり、上の震動は下に伝わりにくくなっていると実感されます。後で、床がふわふわしないか、釘が抜けて来て床鳴りの原因になるかどうか、様子を見ることにしましょう。
(さのはるひと)
庭では内藤さんたちが靴脱ぎ石を据えています。手前に見えているもともと敷地にあった靴脱ぎ石が合わず、この石は他所から買って来てもらいました。
「もう少し家に寄せてくださいな。少し高めにしましょう。」
2度もやり直してもらいました。
大きく重い石を運び入れるためにレッカーが用意されたので、ついでに、植木も入れることに。
仮植とはいっても、およその見当をつけて据えてみます。
今回の庭のイメージは、あまり定式にこだわらず、極力自然な山の中にいるような感じにできないかと注文を出しています。大きめのモミジが空を埋め、木陰に苔がいい感じに見えるようにと。
版築の壁が強いので、用意していた灯籠はやめにして、つくばいをメインにすることに。
モミジの位置を内藤さんたちが縁側から眺めています。3本を考えていたモミジを2本に減らして、モチの樹を隅に植えています。つくばいの脇にツバキを。具体的な位置は造園のお二人にお任せしました。
「うん、これでいいんだよな」
なんて言い合っているのでしょうか。
庭の傍らでは、中西君たちが刻んでいた塀を組み立てています。
ここまで来ると、どうすればいいのか、ずいぶん飲み込めていて、てきぱきとやってくれています。
頼もしいね。
版築の棟木との接続部分です。きちんと寸法が取れているようで、ちゃんと合いました。よかった。
貫を仕込み、えつり竹を納め、小舞竹を編んで行きます。すっかり手慣れていて、どんどん進みます。
今回はシュロ縄をつかって編んでいます。驚いたことに、シュロ縄の方が安いのです。長さも自分の好きなサイズにできるし、編みやすいと、学生君たちにも好評でした。
小舞をさっと編んだ勢いに乗せて、次の日には荒壁を付けています。
おいおい、まだ瓦も載ってないよ。「大丈夫です。シートを掛けておきますから。」
なるほど了解です。1年生も手伝いに来てくれていますね。
造園屋さんによる板石の配置。
「う〜ん、これはダメだなあ〜。」
前に板石をつかって庭をという絵を見せたこともあったので、それでこんな風にやってくれたのでしょうけれども、いかにせん、石が大きすぎて、庭一杯になってしまっています。
こんな風にならないかい?と、パソコンでおよそのイメージを描いてみました。
黄色い砂利は、雨落ちです。小さめの飛び石をつかってみようと。
せっかくがんばって敷いてくれた板石を剥がしてもらいました。ごめんなさい。
でも、この飛び石も変ですね。もうちょっと見当してみましょう。
(さのはるひと)
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