(よしやまち町家にてお茶をたのしむ三澤先生とゼミ生さんたち)
9日日曜日に平成の京町家に京都造形大学の通信大学院、三澤文子研究室のゼミ生さんたちが来られた。研究室の設計課題にそれぞれの平成の京町家を採上げるのだそうだ。院生ではあるが、ほとんどが建築関係ではたらいている社会人ばかり。若い学生たちが挑んでいる町家を楽しそうに見学した後、学校のよしやまち町家校舎も見学に。
町家の空間を経験してもらうには、お茶をいただくのが一番。いつものように、2階で大寄せの茶席となった。中西君たちには今日は大工ではなく、お茶をおもてなしするお茶部生として登場願った。お茶部もこうしてときどきはお客をお迎えして、日頃の練習の成果を確認できるいい機会となる。
(よしやまち町家1階ほりごたつにて 三澤ゼミ+豊田保之さん)
ゼミの院生さんたち、さすがに普段から工務店、設計事務所、材木屋などをされているだけあって、京町家に関心が高い。夕方から晩にかけて、熱心な意見や感想が交わされた。これから自分で調べて設計をしていく中でいろいろ考えが進み、疑問も出て来ることだろう。京都の伝統文化、伝統の構法がもたらす味わい、今日の住環境が求める設備や断熱性能などなど、じっくり考えて欲しいものである。
とくに、平成の京町家というコンセプトの中核にあるのは、伝統の暮らしの文化と今日の省エネ住宅とのバランスだ。この点に関して、12月8日に学校の市民講座特別公開講義(@ハートピア 聴講無料)にて、豊田さんやその他の研究者、京都市、モデルハウス出展業者さんたちの考えを聞くシンポジウムを予定している。今日、避けて通れない問題に対して、どういう姿勢をもって臨むのか、じっくりと聞きたい。
(さのはるひと)
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(平成の京町家伝統型モデル 2階南側を望む)
骨組みだけの町家を目にするのは、案外できない経験だ。通常の木造住宅の工事現場でも骨組みだけの時間はあるが、歪まないように仮筋交いをあちこちに打ちめぐらしているので、水平鉛直の構造が純粋に見られるということはない。先日の構造見学会のために、2階の床や小屋梁に敷かれていた足場板をすべて降ろして、骨組みだけの町家を見ることができた。
上は2階の写真で、貫で縦横に縫い合わされた柱で構成された外壁と、整然と並んで面をなしている床梁、梁を通して内部へとつながる骨組みが見えている。完成してしまえば、天井面はこのまま見えるが、床梁は床板に、貫は土壁に隠れて見えなくなる。そうすると、中に立っている小黒柱が存在感を示すことになる。
(2階西側の妻面を見る)
2階は本来は子ども室、夫婦寝室といった構成であるが、ここでは普及センターということで、部屋に割らず、がらんどうとしたセミナーができる部屋になる。天井を張らないので、小屋梁も貫も見える。
写真のように壁がない状態では、外光が天井を光らせてなかなかいい。実際には、壁ができるので、暗い空間となり、この妻面に穿たれた小さな換気窓から光が差し込むのだが、そのほかに2つの天窓から豊かに光が差し込むので、天井は全体に暗く沈むことになるだろう。
この写真で見ている側は押し入れが並び、襖の和紙とその上の土塗りの小壁の面になる。予算があれば、唐紙として、ふわっと雲母刷り紋が浮いて来るのだが。
最後に、2階の南端のあたりを。前にも(8月24日)採上げた部分だ。あの時はまだ1間貫の水平だけだったのが、ここでは間中に立つ貫が入って、これはこれでなかなかいい。このまま残しておきたいくらいだが、残念ながら、土壁に隠れてしまう。この一段低くなっているところは、置き床となる。この部屋が椅子に座って、あるいは立って眺められる部屋となるので、全体に視線が高くなっている。床も高めにつくることになる。左手の窓は内部にせり出した障子が来るので、その印象が大きくなるだろう。
(2階南から西側を見る)
ここからは、多田君に内法材(鴨居)を入れてもらい、学生君たちには床板、壁の小舞下地の仕事をしてもらうことになる。この建物では、造作らしい造作はあまり見当たらないので、ひとつひとつの通り材をきちんと大事にしてもらいたいと思っている。
(さのはるひと)
9月2日日曜日、構造見学会の日を迎えました。おはようございます。サノの家内です。主人はお客さんの応対でいそがしそうなので、今日は私が写真を撮らせていただきました。試験中で、学生さんたちは一人も来ません。主人の話では、あまり広報が出来ていないので、そんなに人は来ないだろう。関係者は資料は不要だし、配布資料は20部もあればいいと。まずは看板を立てて、掃除です。住宅供給公社のセキグチさんにも手伝っていただきました。
昨夕、表の足場のネットを開けておいたそうで、表通りから建物の正面がよく見えます。ネットはゴミの飛散防止のためのものだそうですが、こうして開けておいた方が通る方にも見えていいのではないかしら。
さっそく人がやって来ました。伝統建築研究科のオネ〜さんたちですね。いつも熱心に来ていただいてます。はい写真。こうやって見ますと、通り庇が思ったよりも低く見えますが、聞けば、瓦屋根が載ると、また印象が変わるのだそうです。
中にはいかにも建築業界の人という方たちが来られてました。工法については十分承知の方たちのようで、あちこち詳細を確認しておられる様子。
表側には京大のタカダ先生ほか研究室の学生さんたちの姿が。これも写真。眼鏡の可愛らしいスエーデン人のM君、どこかで見たことがあると思っていました。今、思い出しました。ジブリの映画「魔女の宅急便」に出て来る自転車乗りのお兄ちゃんです!午前の説明会には2〜30人ほどが来て、説明を聞いておられました。用意していた資料もお茶ももう残っていません。午後の説明会に間に合うよう、追加をお願いしました。
上を見上げて撮った写真です。上棟式の折りのおかめがついた棟札を昨日、また引っ張り出して付けたそうです。あのままずっと付けておくのかしら。
午後には、一般の方も多数来られて、見たところお年を召された方も大勢でしたので、座って説明を聞いていただくことに。午後の日差しが中に入って来て、午前とはまた変わった景色となりました。主人は今度は一般の方向けのわかりやすい話をしていたようですが、質問も次から次へと出てきて、2時間近くもこうやっていたように思います。私は気がついたら、うつらうつらしていました(笑)。
可愛いお子さんを連れたご婦人も、やんちゃな卒業生たちも、なつかしい教え子さんたちも来られて、いつしか一日が終わりました。みなさま、お疲れさまでした。 (サノの家内でした)
2年のタムラです。タダさんの大事な仕事、通り庇の腕木と出桁が今日、ようやく完成しました。両側の柱も合わせて4日間かかっています。出格子の板野さんに負けないいい仕事だなと感心しています。腕木も出桁も2.5寸×4寸とやや太めですが、杉でやっているので、これが限度かなと。なるべく赤身のつよそうな材を選んでもらったとのことです。
饅頭ボルトという丸い頭のついたボルトで腕木を持ち出し梁から吊っています。昔のものとちがって、今のは丸い頭に今風のボルトがついているんですね。銀色に光るボルトが隙間から見えるのがちょっと残念。後で黒く塗りたいねと話してます。
今日、垂れ幕が届きました。明日の構造見学会にぎりぎり間に合いました。さっそく懸けてみました。何と、サノ先生の合成写真と何も変わらない! 毎日見ているガードマンのおじさんが喜んでくれていました。夕方にかけて、二階の足場板や材をすべて降ろして片付けました。骨組みだけの町家が登場です。
(タムラでした)
今回の町家を新築するにあたっては、なるべく多くのこれからの世代を担う若い職人の方たちに参加してもらいたいと、あちこちに呼びかけて始まりました。予算の都合もあって、出格子や床の間回りなど、細かな腕の見せ所だけになってしまいましたが、京都府建築工業協同組合の葭塾の塾生に声を掛けさせていただきました。その中から、板野暁弘さんに出格子をお願いしておりました。
この日、板野さんが仕事をされているというので、楽しみに現場に。ちょうど日が射していたこともあって、正面がぱっと明るくなって、まるで花が咲いたような印象を受けました。やあ、いいもんだな。さっそく、向かいで工事している彩工房の久見棟梁が覗きに来ました。「いい仕事してるね〜。」
道具を覗いてみると、大小さまざまの鉋が。細かな造作仕事のノミもたくさんある。先が平たく開いた小振りの玄翁が目につきました。振ってみても、なかなかバランスがいいです。僕もこんなのをつくってみたい。
この出格子は通常のものとはちょっと違ったところがあります。全体としては、普通のいわゆる仕舞屋格子ですが、やや太めの格子が組み込まれています。
まだ入ってない格子が実は変わっていて、見附の大きなものが入る予定です。その間に上の組み入れの格子が来ている格好になっています。それは最後の辺りで見られることになりますので、お楽しみに。
板野さん、ありがとうございました。
(さの)
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