(平成の京町家伝統型モデル 2階南側を望む)
骨組みだけの町家を目にするのは、案外できない経験だ。通常の木造住宅の工事現場でも骨組みだけの時間はあるが、歪まないように仮筋交いをあちこちに打ちめぐらしているので、水平鉛直の構造が純粋に見られるということはない。先日の構造見学会のために、2階の床や小屋梁に敷かれていた足場板をすべて降ろして、骨組みだけの町家を見ることができた。
上は2階の写真で、貫で縦横に縫い合わされた柱で構成された外壁と、整然と並んで面をなしている床梁、梁を通して内部へとつながる骨組みが見えている。完成してしまえば、天井面はこのまま見えるが、床梁は床板に、貫は土壁に隠れて見えなくなる。そうすると、中に立っている小黒柱が存在感を示すことになる。
(2階西側の妻面を見る)
2階は本来は子ども室、夫婦寝室といった構成であるが、ここでは普及センターということで、部屋に割らず、がらんどうとしたセミナーができる部屋になる。天井を張らないので、小屋梁も貫も見える。
写真のように壁がない状態では、外光が天井を光らせてなかなかいい。実際には、壁ができるので、暗い空間となり、この妻面に穿たれた小さな換気窓から光が差し込むのだが、そのほかに2つの天窓から豊かに光が差し込むので、天井は全体に暗く沈むことになるだろう。
この写真で見ている側は押し入れが並び、襖の和紙とその上の土塗りの小壁の面になる。予算があれば、唐紙として、ふわっと雲母刷り紋が浮いて来るのだが。
最後に、2階の南端のあたりを。前にも(8月24日)採上げた部分だ。あの時はまだ1間貫の水平だけだったのが、ここでは間中に立つ貫が入って、これはこれでなかなかいい。このまま残しておきたいくらいだが、残念ながら、土壁に隠れてしまう。この一段低くなっているところは、置き床となる。この部屋が椅子に座って、あるいは立って眺められる部屋となるので、全体に視線が高くなっている。床も高めにつくることになる。左手の窓は内部にせり出した障子が来るので、その印象が大きくなるだろう。
(2階南から西側を見る)
ここからは、多田君に内法材(鴨居)を入れてもらい、学生君たちには床板、壁の小舞下地の仕事をしてもらうことになる。この建物では、造作らしい造作はあまり見当たらないので、ひとつひとつの通り材をきちんと大事にしてもらいたいと思っている。
(さのはるひと)
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