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[学校内のあれこれをお伝えします!]
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hiki06011.JPG

  さのです。昨日に引き続いて、木工コースメンバーによる蟻落とし仕口の耐力試験の2番目、引抜試験を行いました。これは昨日の水平曲げ試験よりも結果が予想しやすく、ほぼ予想通りの結果が見られました。

 まずは練習用の105mm角で実験。3kNほどでメス側に繊維方向に沿ってひび割れが生じ、しばし耐力は上がるけれども、ひびわれは成長していきます。5kNほどで最大値となり、ひびわれは大きく口をあけて、ボルトで止まっているだけの状態になり、最後は広がった口から蟻が抜けて終了です。グラフでは青の線で示しています。

 続いて120*180mmの本番部材で実験しました。(上の写真 グラフは緑) 破壊状況はほぼ同じで、耐力はほぼ倍になっています。蟻の大きさが105mm角の75mmに対して180mmですから、2.4倍。耐力は2.2倍ほどですので、まずまず比例関係を想像してよいと思われます。

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 7時過ぎから大工組合の葭塾(よしじゅく)メンバーが見学に参加、本番部材の2つめの実験を行いました。結果はほぼ2番目と同じですが、こちらの方が粘りつよく耐えていたようです。節や干割れなど、メス材の状況によってずいぶん違う数字になるだろうと想像されます。ちなみに、今回の材料はすべて京北産の杉の天然乾燥材。結果は下の赤いグラフで示しています。

hiki06013.JPG

 現実には、蟻落としの仕口にこのような引抜力がかかる状況はないだろうと思います。前回の水平曲げ試験と比べれば、耐力は10倍ほど大きくなっていますが、曲げ荷重のかかり方からすれば、モーメントのはたらく距離で10倍、片側と両側の違いで2倍、合計で20倍ほど違っていても不思議ではないはずです。曲げ破壊ではどこかでめり込み降伏などで力が抜けているかもしれません。

 次回は来週の水曜日、今度はいよいよ鉛直方向の曲げ試験です。  

hiki0601graph.jpg

                                               (さのはるひと)
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今年度の建築科木工コースは3件の町家改修に挑んでいます。その紹介はまた別便でお知らせしましょう。ここでは、京都のまちにふさわしい新築町家を建てるのに必要な勉強として、杉材を用いた蟻落とし仕口を検討しようと、耐力実験を行っている様子を紹介します。


ariyoko180-2.JPG 実験の様子 受ける梁に割れ破壊がおこる

 実験は3体、1は練習用でつくった105mm角の腰掛蟻、グラフはyoko105-1 赤で示しています。
次に4寸*8寸の親梁に4寸*6寸のささらが蟻で仕込まれたものを2つ。
その1は先日、データ無しで破壊試験したものを再度、割れをビスで留めて実験をしてみました。 グラフはyoko180-1 緑 です。
もう一つのサンプルですが、タダ君が作成したものです。グラフは yoko180-2 水色です。


542169dc.jpeg 実験結果比較グラフ

赤のグラフ105mm角の試験体では、力の作用点がh=800でしたので、曲げ力としては、ここのkN*1.25でkNm という数値になります。グラフはそのままのデータなので、このまま強度の比較にはなりません。
60mm程度引っ張ったところで最大値0.57kNですから、1/13rad で 0.71kNm という曲げ荷重が記録されていると見て下さい。
その後は徐々に落ちていって、0.25kN、0.31kNm で推移するということになりますが、これはボルトで押さえられているので、それ以上割れが進行しなかったということと見られます。

次に、緑のグラフ、180mmの試験体の1ですが、力の作用点Hが900ですので、曲げ力は1.1倍することになります。押し引きしていますが、押し(+側)は前回の破壊によって、強度が出ません。引き側(ー側)で見て下さい。
ー側では、最大値は-72mm辺りのところで-0.57kNとありますが、力の係具合で0点が25mmほどずれているので、補正すると、-50mm程度のところで0.57*1.1=0.63kNm となります。最大値では、+側の方が大きくて、116mmのところ(補正後 90mmのところ 1/10rad で)0.79kN 0.88kNmということになります。


3つめに水色のグラフ、180mmの試験体の2ですが、設定をあやまり、引き側(ー側)で途中からワイヤーが緩んでしまい、データが取れていません。押し側(+側)で見て下さい。最初から剛性が高くて、きちんとできている印象があります。さすがタダ君ですね。
25mm(1/36rad)あたりからほぼ横ばい状態で、0.9kNほどを出しています。最大値は80~90mm(1/12~10)あたりで 0.99kN 1.1kNmぐらいです。引き側では、60~80mmあたりで1.08kN 1.2kNm を出しています。


ariyoko.JPG

全体を通して、


1 蟻落しは水平横方向の曲げ荷重に弱そうだ

2 1/20~10rad でピークがあり、そこから母材に割れが入って耐力は落ちる

3 最大耐力は 蟻の長さで 2.5寸(75mm)で 0.75kNm 程度、 6寸( 180mm)で 1.1kNm 程度
  蟻の大きさに比例していないようだ

4 梁間方向での揺れにおいて、壁がある両妻面に対して、大黒柱通りは受けている荷重の割に壁が少ない
  ので、この通りの水平方向の振れ幅が大きくなる可能性がある。そのような場合に水平構面が平行四辺
  形に変形することになる。通し柱を結ぶ主要な梁とささらが変形に抵抗するが、蟻落としささらの水平曲げ
  に対する抵抗力の負担を検討する必要がある (上図参照)

今週はまっすぐ引き抜く実験をしてみます。お楽しみに。   

                                                (さのはるひと)

  卒業生のイ~ジマです。よしやまち研究会の常連ですが、去年はずっと会がなく、さびしかったです。この春、タロと二人でスペインとイタリアを回ってきたので、旅行のスライドで1年ぶりの研究会をやろうと企画しました。12,3人で、さの先生の奥様の手料理をいただきながら、たのしく旅の思い出を交えて、各地の風景や建築について紹介しました。

  スペインではマドリード、トレド、コルドバ、セビリア、グラナダ、バルセロナへ。そこからイタリアのベネチアに飛んで、フィレンツェ、シエナ、アッシジ、ローマ、そしてナポリ、パエストゥムを回って帰って来ました。20日間の旅行です。往復の飛行機代が半分ほどかかりましたが、後は詰めて、全部で30万円くらいでした。宿は原則、その都市に行って探しましたので、結構たいへん。各都市で最低1泊、2泊しましたが、できればもう少しゆっくり見ていたかったです。この旅程なら30日あってもよかったなと思いました。

ykenkyu05301.JPG

  宿はスペインの方がきれいでシャワーもよかったです。二人で8000円くらいの部屋で、ホテルやお目当てのレストランで食事。朝食も二人で10ユーロほど。ちょうどイースターの祭りに当たってしまい、観光客が多くて、宿をとるのに苦労しましたが。基本的に見て歩くときには別行動で、夕飯の店で落ち合うという行動パターンでした。もっとも、こうして撮った写真を見ると、同じようなところを見ているな~と。

 訪ねたところでは、グラナダのアルハンブラ宮殿が期待通り素晴らしかったです。日本で見学予約が取れなかったので、当日朝早く暗いうちから並んで見ることができました。100人ほどが見られるのだそうですが、6時半ごろで一杯になっていました。宮殿の意匠はち密な文様の集積ですが、全体の校正がすっきりしていて、品があり、美しい建築でした。

 タロです。イ~ジマ先輩にすっかりお世話になって、楽しい旅行でした。私は建築よりも、何気ない庶民的な街角を歩くのがほんとうに楽しかったです。スペインではトレドの街歩きですね。坂の多い街ですが、面白くて飽きません。イタリアではシエナもよかったけれども、アッシジが最高!来てよかったと思いました。もうちょっと余裕があれば、アルベロベロまで行きたかったです。ふと見つけてぶらりと入った教会ががらんとしているのですが、素朴で飾り気のない大きな空間が何かよかったです。

 さの:二人とも単体としての建築ばかりを見ていたわけでなく、ちゃんとその足元の街やひとびとの暮らしにも目を向けて来たということですね。いい勉強になったみたいだ。なつかしい建築や街の写真をありがとう!

                                  (この日、誕生日だったタロ&イ~ジマでした)





 
 
 

伝統建築研究科は今年度より各分野ごとの受講をベースに、共通の基礎講座を設け、およそ月に一度の土曜講座を予定しています。5月28日、土曜講座の第一回目が本校の教室で行われました。伝統建築研究科在校生および卒業生のみなさんが参加されていました。

 「壁と窓─建築論的考察」
                       ---------------京都建築専門学校 建築科二部講師 香西 克彦

 「法会の形式から見た寺院建築の平面と構造」
                          ----------------------------環境事業計画研究所 北岡 慎也

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  前半は本校夜間二部で設計を担当している香西先生の講義です。研究「窓とマド」から、西欧の窓が石積みの壁を主体とする建築に穿たれた穴であるのに対して、わが国のマドは柱梁で構成される木造のフレームで柱と柱のあいだの間としてある。この外部に解放された家のしつらいに、風土なるものの自己了解があるのだと。二条城の書院に見られる障壁画もまた、外に見られる風景として描かれているものとして理解できるのではないか。主に家の内から外を眺める方向で、内外の見え方、見方を問うというものでした。

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 後半は伝統建築研究科で教えていただいている北岡先生による講義です。これまであまり取り上げられて来なかった寺院の使う側からの要求に平面や構造がどのように応えているか、法会(ほうえ)の内容から理解しようというもので、古代寺院から中世~近世本堂形式の変遷を詳しく説明していただきました。

 お二方の研究はともに、建築のかたちや変遷を単に外から眺めるのではなく、主体としてその場に居合わす視点から建築を見直そうというもので、伝統的な建築をあらたに問い直す意味のあるお話でした。時間の都合でじゅうぶんに詳しく論を展開するところまでは至りませんでしたので、またいつかつづきを期待したく思っています。ありがとうございました。 
                                                (さのはるひと)

  今日は、香西克彦先生と、北岡慎也先生の講義が行われました。伝建科OBにも開放したこともあり大盛況でした。簡単に内容の一部をご紹介しましょう。
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 香西克彦先生は「壁と窓 ―建築論的考察」と題してご講義いただきました。日本建築の伝統の中にある「窓」は西洋のそれとは全く違った概念である、ということです。つまり西洋の「窓」は壁の一部に穿(うが)たれたものですが、日本の「窓」は柱間いっぱいに開けられ、また床(ゆか)に接したものでもあります。それは日本建築における室内と外の景色との深い関わりによるところが大きいとのことです。
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 北岡慎也先生は「法会(ほうえ)の形式から見た寺院建築の平面と構造」と題してご講義いただきました。寺院建築の平面の変化とそれぞれの立場の人の参拝の場所の変化を、一般にはあまり深く知られていない法会を紹介しながら説明いただきました。
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