さのです。昨日に引き続いて、木工コースメンバーによる蟻落とし仕口の耐力試験の2番目、引抜試験を行いました。これは昨日の水平曲げ試験よりも結果が予想しやすく、ほぼ予想通りの結果が見られました。
まずは練習用の105mm角で実験。3kNほどでメス側に繊維方向に沿ってひび割れが生じ、しばし耐力は上がるけれども、ひびわれは成長していきます。5kNほどで最大値となり、ひびわれは大きく口をあけて、ボルトで止まっているだけの状態になり、最後は広がった口から蟻が抜けて終了です。グラフでは青の線で示しています。
続いて120*180mmの本番部材で実験しました。(上の写真 グラフは緑) 破壊状況はほぼ同じで、耐力はほぼ倍になっています。蟻の大きさが105mm角の75mmに対して180mmですから、2.4倍。耐力は2.2倍ほどですので、まずまず比例関係を想像してよいと思われます。
7時過ぎから大工組合の葭塾(よしじゅく)メンバーが見学に参加、本番部材の2つめの実験を行いました。結果はほぼ2番目と同じですが、こちらの方が粘りつよく耐えていたようです。節や干割れなど、メス材の状況によってずいぶん違う数字になるだろうと想像されます。ちなみに、今回の材料はすべて京北産の杉の天然乾燥材。結果は下の赤いグラフで示しています。
現実には、蟻落としの仕口にこのような引抜力がかかる状況はないだろうと思います。前回の水平曲げ試験と比べれば、耐力は10倍ほど大きくなっていますが、曲げ荷重のかかり方からすれば、モーメントのはたらく距離で10倍、片側と両側の違いで2倍、合計で20倍ほど違っていても不思議ではないはずです。曲げ破壊ではどこかでめり込み降伏などで力が抜けているかもしれません。
次回は来週の水曜日、今度はいよいよ鉛直方向の曲げ試験です。
(さのはるひと)
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