京北合併記念の森管理棟を作成した昨年に引き続き、今年の卒業制作木工チームは研修棟を製作します。管理棟は土壁で耐力壁としましたが、あずまや吹き放しの研修棟は筋交いで耐力をとることにしました。スパン6mの丸太小屋梁を2列の丸太の柱で受けます。雨除けにそこから1m外に跳ね出した腕木で軒桁を受け、軒の深さを1.5mにする設計になっています。
問題は2m間隔に受ける腕木の耐力です。丸太柱に差し込むために、桁を受けるところは75mmにしていますが、ほぞの断面は幅45mmが精一杯です。軒先に50cmほどの重たい雪が積もったとすると、1本の腕木にかかる重量は最大でおよそ1tほどになろうかと思います。単独の跳ね出し腕木では折れてしまいますので、絵に見るように、枕木と肘木を持ち送り構造として設計してみました。すべてを柱に貫通すとなると、柱の断面欠損が甚だしいので、真ん中の枕木は大入れとして抜かないことに。3本を4本のけやきの栓でくさび留めで一体化しています。さて、この構造がどれだけ持つでしょうか?さっそく、実験をやってみようということになりました。
実際の大きさでは実験台に納まらないので、上半分をつくり、筋交いは半分を納めるようにしています。図面で見るように、鉛直変位と水平変位を計測します。固唾を飲んでいる中、油圧ジャッキを押して行きますと、荷重に応じて、順調に?下がり始めました。設計荷重の5kN時で沈下量はおよそ30mm、結構柔らかい構造です。さらに、10kNで54mmほどとなりました。
今度は筋交い無しでやってみようと、筋交いを外して、水平変位を取りながら、荷重を上げて行きます。5kN時では、水平変位が筋交い有りの場合の2mmに対して、無しの場合では、8mm。7.5kN時では筋交いありで4mmに対して無しでは14mmと、およそ3倍の変形があります。一方、鉛直方向の変位は7.5kN時では、有りが42mm、無しが43mmと、ほぼ同じとみてよい結果となりました。
どこまで耐えられるか?を探るためにも、どんどんジャッキを押して行きますと、時々、バキッとすごい音をたてながら、それでも耐力はじわじわ上がって行きます。これは奥の柱で腕木を止めている込み栓が折れた音のようです。ついに大きな音を上げて耐力がかなり落ちたので、ここら辺りで破断ということに。筋交い有りの最大耐力は14.2kN、そこでの鉛直変位は86mm、水平変位は14mmでした。
実験を終えて、腕木をばらしてみますと、腕木と肘木は破断、込栓も破断していました。けやきの15*30の栓を30cm間隔に4本入れていますが、楔の食込みがかなり強くへこんでいます。結局、この3本のシステムでは耐力や変形性能は十分であるが、変形が大きすぎるようです。腕木と肘木の2本にして、それぞれ成を大きくして、180mmにしてみようということに。新たにひのきの材料を入れて、また試験体をこしらえることにしました。TD君、よろしく!
最後に実験に加わったメンバーで記念写真です。みなさん、ご苦労様でした。また月曜日にでも新しい2本組みで実験をしましょう! (さのはるひと *数値は6月21日に訂正)
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