平成の京町家伝統型モデルに用いる材はすべて京北の天然乾燥材としているのだが、床下のひのき材のほかは乾きにくい杉がほとんどである。昨年の夏ごろから森林組合にオーダーしていたので、前から取り置き乾燥してもらっていた材はまあまあ乾いているが、変更になって冬口に注文した平角材(梁材)はさすがにまだ生々しさが残る。いくぶん低温乾燥窯に入れてのんびり温めてはいるものの、そう簡単に乾かない。
すべて含水率を出しておこうと、ワカヤマチームに納入されてくる材を片端から重量とサイズを記録、含水率を算出してもらっている。軽い木材は25%あたりまで乾いているのだが、ちょっとまだだな、という材も多く、中には80%ほどのずっしりしたものも。これらは、仕方ない、刻みでも口は1〜2分(3〜5mm)ほど余裕を残して刻むことにした。これから建て方を始める夏休みにかけて、市内で乾燥させ、建て方の直前に口合わせをしようということにした。
含水率を算出するにあたって、絶乾重量密度を0.33と仮定したが、どの杉でも同じというわけはなさそうだ。根拠となるデータが欲しいので、桁の中で白っぽく軽いものと、赤黒く重いものとの2つの木口を切り落とし、絶乾状態での重量を測定することに。
オ〜サワマイスターの発案で、学校にある電子レンジで温めて乾燥させようということになった。
まず、両方の大きさと重量を測定する。
1 1205.8cm3 478g 0.396g/cm3 含水率 20%(絶乾比重0.33と仮定)
2 1548.2cm3 876g 0.565g/cm3 含水率 71%(絶乾比重0.33と仮定)
この木材を電子レンジで交替(強め2分)で温め、2分後に重量を測定する。水蒸気がもわもわと出て、一回でおよそ20〜25gの減量を見ることができた。木材1の方は5回ほどで減量値が減少、6回目で煙が出たので、ここで中止。重量は 376g だった。芯のあたりはまだ水蒸気が出ているものの、周辺部が焦げ出して、煙が出ている。内部で燃焼があるに違いない。乾燥とともに歪みも進行して、クラックも大きくなり、芯に届くまで成長していた。
木材2の方は順調に減量を続け、この日は17回の加熱で終了。555gとなった。まだ水蒸気は活発に出ており、絶乾までまだあると思われた。あまり収縮も目立たず、下の画像にあるように、クラックも入っていない。
翌日2日は朝からの雨、湿気を含んだ空気に当って、木片はどうなっただろうか?重量を測定すると、
木材1 376g → 398g +32g (+8.5%)
木材2 555g → 575g +20g (+3.6%)
となっていた。木材1が絶乾状態にあったとすれば、含水率は 0% から 8.5%上昇したことになる。同様に、木材2の方は、前日の状態から3.6%上昇した。
木材2をもっと加熱して、絶乾重量を測定しようということで、さらに電子レンジで加熱を繰り返してみた。5回目の加熱時に、レンジから煙が上がったので、加熱を中断、このときの重量は540g。ほぼ中心付近から勢いよく青い煙が上がっていた。内部で燃えている様子だったので、重量測定後、水をかけて実験は終了となった。下記に結果をまとめる。
木材1 0.396 g/cm3 → 0.312 g/cm3(絶乾状態) 当初含水率 27%
木材2 0.565 g/cm3 → 0.349 g/cm3(絶乾状態) 当初含水率 62%
と含水率は補正される。この実験で杉でも絶乾密度に差があることがわかった。0.31~0.35、したがってその平均は0.33となり、当初の仮定密度と重なった。ほぼ、この数字で含水率を計算してもいいという一つの根拠を得た。
ちなみに、この最終状態で、収縮はどうだったろうか?断面寸法の比較をまとめてみた。
木材1 209*117 mm → 206*114 mm
木材2 209*119 mm → 208*113 mm
意外に梁幅方向に収縮が大きく、梁成方向に小さい。これはほぼ、年輪の接線方向>中心方向という定式に沿ったものと見ることができたということになる。いずれにしても、これらの梁は絶乾状態まで行くことはなくても、エアコンなどが効いた室内ではかなりの乾燥状態になるので、同じくらいの収縮があると見てよいだろう。梁幅で5〜6mm、梁成方向で3〜4mmは収縮すると考えておかねばならない。
(オ〜サワ&サノでした)
すべて含水率を出しておこうと、ワカヤマチームに納入されてくる材を片端から重量とサイズを記録、含水率を算出してもらっている。軽い木材は25%あたりまで乾いているのだが、ちょっとまだだな、という材も多く、中には80%ほどのずっしりしたものも。これらは、仕方ない、刻みでも口は1〜2分(3〜5mm)ほど余裕を残して刻むことにした。これから建て方を始める夏休みにかけて、市内で乾燥させ、建て方の直前に口合わせをしようということにした。
含水率を算出するにあたって、絶乾重量密度を0.33と仮定したが、どの杉でも同じというわけはなさそうだ。根拠となるデータが欲しいので、桁の中で白っぽく軽いものと、赤黒く重いものとの2つの木口を切り落とし、絶乾状態での重量を測定することに。
オ〜サワマイスターの発案で、学校にある電子レンジで温めて乾燥させようということになった。
まず、両方の大きさと重量を測定する。
1 1205.8cm3 478g 0.396g/cm3 含水率 20%(絶乾比重0.33と仮定)
2 1548.2cm3 876g 0.565g/cm3 含水率 71%(絶乾比重0.33と仮定)
この木材を電子レンジで交替(強め2分)で温め、2分後に重量を測定する。水蒸気がもわもわと出て、一回でおよそ20〜25gの減量を見ることができた。木材1の方は5回ほどで減量値が減少、6回目で煙が出たので、ここで中止。重量は 376g だった。芯のあたりはまだ水蒸気が出ているものの、周辺部が焦げ出して、煙が出ている。内部で燃焼があるに違いない。乾燥とともに歪みも進行して、クラックも大きくなり、芯に届くまで成長していた。
木材2の方は順調に減量を続け、この日は17回の加熱で終了。555gとなった。まだ水蒸気は活発に出ており、絶乾までまだあると思われた。あまり収縮も目立たず、下の画像にあるように、クラックも入っていない。
翌日2日は朝からの雨、湿気を含んだ空気に当って、木片はどうなっただろうか?重量を測定すると、
木材1 376g → 398g +32g (+8.5%)
木材2 555g → 575g +20g (+3.6%)
となっていた。木材1が絶乾状態にあったとすれば、含水率は 0% から 8.5%上昇したことになる。同様に、木材2の方は、前日の状態から3.6%上昇した。
木材2をもっと加熱して、絶乾重量を測定しようということで、さらに電子レンジで加熱を繰り返してみた。5回目の加熱時に、レンジから煙が上がったので、加熱を中断、このときの重量は540g。ほぼ中心付近から勢いよく青い煙が上がっていた。内部で燃えている様子だったので、重量測定後、水をかけて実験は終了となった。下記に結果をまとめる。
木材1 0.396 g/cm3 → 0.312 g/cm3(絶乾状態) 当初含水率 27%
木材2 0.565 g/cm3 → 0.349 g/cm3(絶乾状態) 当初含水率 62%
と含水率は補正される。この実験で杉でも絶乾密度に差があることがわかった。0.31~0.35、したがってその平均は0.33となり、当初の仮定密度と重なった。ほぼ、この数字で含水率を計算してもいいという一つの根拠を得た。
ちなみに、この最終状態で、収縮はどうだったろうか?断面寸法の比較をまとめてみた。
木材1 209*117 mm → 206*114 mm
木材2 209*119 mm → 208*113 mm
意外に梁幅方向に収縮が大きく、梁成方向に小さい。これはほぼ、年輪の接線方向>中心方向という定式に沿ったものと見ることができたということになる。いずれにしても、これらの梁は絶乾状態まで行くことはなくても、エアコンなどが効いた室内ではかなりの乾燥状態になるので、同じくらいの収縮があると見てよいだろう。梁幅で5〜6mm、梁成方向で3〜4mmは収縮すると考えておかねばならない。
(オ〜サワ&サノでした)
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