タマダです。今日から夏休みが終わって、授業が始まりました。午後は卒業制作演習なので、メンバーが現場に集まりました。来てみれば、夏休み中とほとんど変わらない感じですが、夏休み中に一度も参加しなかった生徒も来ています。
この日は皆で立つ貫(間柱)を仕込みました。1人1枚入れればいいので、楽勝です。1寸厚の杉板に貫の欠き込みを入れて、上下にメチをとって、下は根絡み上は胴差しにはめ込むという仕事です。ついでに胴差しと根絡みにえつり穴を掘りました。
貫が邪魔でけっこう上向き仕事はたいへんです。前もってえつり穴を開けておけばよかった。後悔先に立たずですね。今回は通常とは逆に、縦の竹小舞を内側に組みます。薄く壁土を塗るので、貫の影響の少ない縦小舞側を内にするのだそうです。その方が外側に断熱材であるフォレストボードを貫に釘打して留めてやりやすいですね。
1階では10カ所あるので、10人なら1人1カ所でいいのです。やはり大勢でやっているといいものです。
1時間ほどで出来上がりました。
10人もいると、一人くらいは間違えてやりなおす子もいるだろうと話してましたが、やっぱり一人、メチほぞの位置を間違えて、やり直しです。貫との交差点は相欠きにしてありますが、ここを釘でしっかり留めます。
出来上がった1階を見るに、先ほどまであった横長の感じが方形に組まれています。ちょっと雰囲気が変わったような気がします。
次回は二階の立つ貫を仕込むことになります。 (タマダでした)
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卒業生のワタルです。平成の京町家は昨年のぼくたちの課題だったはずが、1年延びてしまって、残念な思いをしていました。でも、卒業後に呼んでもらい、タダ棟梁の助手として参加参加させてもらっています。今日は二つの天窓をつくりました。ガラス瓦が載るように、下地を用意する作業です。とりあえず、位置を出して、二回り小さな穴を開けて、正確な開口の墨をつけます。下で見ていたサノ先生が、設計よりも一回り小さくつくろうと、変更となりました。小さく開けてよかった!
屋根作業班が断熱材の上から透湿防水シートをさっさと張っています。盆過ぎて、まだまだ暑い夏の空ですね〜。そして野地板を張って行きます。屋根に置かれた野地板が太陽の熱でねじ曲がっていきます。それを2人がかりで押えて、釘を打って留めます。野地板を打つのに2日かかりました。
軒端には、1寸板を流して軒を伸ばしています。堂宮の裏甲(うらごう)のようなものですね。表は白い杉を集め揃えたので、裏は赤い杉となりました。サノ先生は2寸にと言ってますが、もう少し伸ばしてもいいように思えて、3寸まで伸ばせるようにしました。
ーーサノ:ありがとう。2.5寸で切らせてもらったよ。
二階から見ていますが、案外、この裏甲は見えないですね。でも、軒先の瓦がぐっと見えることでしょう。こうやって見ていると、サノ先生がこの1間を下屋風に屋根を下げたのが理解できるように思います。1間貫もきれいですね。でも、これは土壁で見えなくなってしまうのですが。サノ先生、もう少し軒を伸ばしてもよかったのでは?
ーーサノ:う〜ん、ここから見る限りはそうかもしれないね。通り庇の軒の出と相関するだろうと思っているんだよ。
柱と貫のつくるリズムがなかなか気に入ってます。サノ先生がよく話している伝統的な構法のもつ素直な魅力なんだろうなあと。正面もいいです。でも、通り庇ができると、こういう風には見えなくなってしまいますね。通り庇のない昨年の第一案は、これをねらっていたんでしょうね。でも、出格子ができて、出桁や腕木がある景色もいいものになるように思います。楽しみです。
(卒業生のマツイワタルでした)
サノです。この1週間の間に根絡みを据えること、屋根の野地を張ることが目標です。柱の基礎となる石がいくつか据えられていなかったので、後入れで石を固定しました。楔をつくって、きちんと留めて、モルタルをパサで練って、詰めて行きます。水準器で確認、ブラシで洗ってやると、その水が回って固まってくれます。石はホームセンターで買ってきました。店によって厚さも仕上がりも違うのが面白いですね。出格子の基礎石だけは小さめに切って据えています。
根絡みチームの姿です。地味な仕事ですが、よくやってくれています。ただ取付けるだけではなく、寸法やレベルを見ながらつけなくてはなりません。結構手間がかかります。現実の工事にはもう少し工夫がいるなあ。
隣の敷地で共用トイレの工事が始まりました。プロの大工たちがプレカット材を次から次へと組み立てて行きます。1日でほとんど建て方が終わってしまいました。何と早いこと!時折、大工さんたちが物珍しそうに、こちらの学生たちの作業を覗いています。
ーーわしらも昔はそんな手作業をやったもんや。今はやらへんなあ。ノミも鉋もほとんど使わん。手間やけどいい勉強になるやろ。せいぜい気張りや。
3時のアイスの時間です。暑い中での作業なので、とくに屋根の上で作業しているチームの水消費量は半端ないです。クーラーボックスを用意して、がぶがぶ飲んでもらっています。3時のおやつには、菓子よりも氷アイスがいいです。でも、みんな高校時代のクラブ練習で暑い中での過ごし方は知っているので、ほとんど心配は不要。食欲も落ちていません。そうそう、皆でいただくお昼の中華レストランが敷地の一角にあります。今度はそこの話もしましょう。
(さの)
ナカニシです。20日、盆明けの作業が再開しました。久しぶりの現場に来てみると、お盆休みの間に京都を襲った豪雨の影響が。ブルーシートを抜けて雨が侵入、せっかくの化粧野地板にシミを残してしまっています。サノ先生、どうしましょう?
ーー仕方ない。柿渋を塗ろう。
この日、電気屋のナカザワさんが来られて、化粧野地の裏の配線作業。天井フトコロがない建物では、こんな手間を掛けることになります。この配線を除けて断熱材と流し桟を張らねばなりません。化粧野地の上を這う配線は2カ所の配線ダクトに集められます。
先生、この配線は見えて来ませんか?
ーー配線を板で包んでダクトにするんだ。押入の中を通って、1階の床下に抜ける。後で蓋を開けて修繕できるようにするのさ。2階のスイッチには、やはり床の二重の床板の間を通ることになる。
エアコンの配管もそのダクトを通るのですね?
ーーそう、長寿命の家づくりを目ざす平成の京町家では、とくに電気や給排水などの設備系の補習をしやすくすることが重要だからね。
でも、屋根の上や床の中の配線はそう簡単にいじれないですよ。
ーーそう、完全には無理だね。空配管をしてやればいいけれども、まあ、そこまでしなくてもいいだろうという判断だ。できるだけ露出させ、見えにくくなるような工夫を講じるのがいいと思う。
断熱材には、杉皮を繊維状にほぐして同量のパルプを混ぜ合わせて成形したフォレストボードという自然素材断熱ボードを使用しています。厚さは20mmを二重にして使います。これを半分に切って、はめて行くのですが、電ノコで切るときの埃がたいへん。
配線の除け方ですが、流し桟は下を1cmほど切り欠いて付けます。ボードは下の1枚を切り、上の1枚は天井の取付穴のところだけ窓を開けて、コードが上に伸びるようにしてやります。こうすることで、天井に器具を取付けてからコードを上に押しやる隙間ができます。結構、面倒です。1日で屋根の半分が終わりました。やれやれ。
(ナカニシでした。)
サノです。京都市が主催している平成の京町家住宅展示場では、学校で建設している町家(普及センター棟)の現場だけが、何の看板もないので、垂れ幕をつくることにしました。
以前にレナさんにつくってもらった藍染め風の暖簾があるのですが、今回のはその数倍の大きさになるので、業者さんにつくってもらうことに。今はネットで注文できるんですね。さっそく、デザインをして、メールでデータを送ることにしました。
ワープロで文字を並べるのもつまらないので、やおら筆を取り出して、墨を摺って、にわかお習字です。筆も習字用ではなく、絵筆をつかうことに。力を抜いた文字を書くのは、案外難しいものです。あっという間に、用意していた和紙が無くなってしまいました。ああだこうだと書いていても、ちっともできないので、気合いを入れて、これが最後!と書いたもので決めました。ちょっと脱力系に過ぎたかもしれませんね〜。
ごちゃごちゃといっぱい字を書くのもどうかと思い、「平成の京町家」に「京都建築」の4文字を○で囲んだレナ風を踏襲しています。藍染め風の地に白抜き文字で、現場の写真に合成してみました。幅が1m、縦が5.4mあります。早くできないと、涼しくなってしまいますね。
9月2日の日曜日に構造見学会がありますので、それに何とか間に合わせて製作してもらいましょう。お楽しみに。
(さの)
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