この家を残すために自分たちにできること、それはこの家のよいところを一人でも多くの人に伝えること、村の人たちにとって意味のある交流の場所として使いやすい施設として適切な建築計画を行うこと、また耐震のための補強を提案することなどなどである。及ばずながら、出来うる限りのお手伝いをおこなったつもりである。耐震補強を念頭に、構造の実測調査を行い、それに基づいて限界耐力計算法による診断を行った。さいわい、構造部材の断面が大きく、接合部も相当によくつくられているので、いくらかの補強を行いはするものの、全体として、まずまずの耐震性を有することがわかった。補強は主に脚もとを繋ぎ合わせることと、土壁によって剛性の不足を補うというようなことである。今回は屋根の茅を全面的に葺き替えたので、古い茅の単位重量を測定する機会が得られたことを付け加えておきたい。茅は乾燥の度合いで重量が変ると思われるが、東西南北、ほぼ10%程度の誤差で60kg/m2(葺き厚55cm程度)であった。
もう一つ、この家のもっとも素晴らしい構造をより理解するために、学生たちと一緒に構造模型をつくることを提案し、地元の人たちの同意を得て、改修工事の竣工に合わせて制作することになった。
縮尺は1/30、松の曲がった梁を、実際の曲がりを拾って一本一本削りながら拵えていくのだが、作業は思った以上に手間がかかった。小さい内反りの鉋を購入したのだが、これがなければ、あきらめていたかもしれない。
それにしても、どうしてこんな面倒な梁の掛け方をするんだろうと、模型を作りながら考えた。要は、屋根の荷重を中央の火袋コアと、建物の外周部へと流している。ストレートに柱で受けずに、幾段もの梁で受け継ぐことで、接点の数と動きの自由度を増してやり、そのことで、柔軟に力を伝え流してやることができる。その分、各接点に力が集中しないという利点がある。こんな込み入った梁組を、その前の家がお盆の火事で消失してわずかに1年程で着工し、上棟しているというスピーディーさなのだから、引受けた若狭の棟梁氏は大した力量である。 (さの 4につづく)
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