9月に入って前期試験期間となり、学生はしばらく木工作業から遠ざかる。現場はしずかなものだ。一人、多田君がこつこつ造作仕事をしている。
まず、表の格子のつづきに、組み入れの格子をやってもらった。隣の大工板野さんの仕事を汚さないよう、入念の仕事。さすが多田君、きちんとやってくれた。素晴らしい!これは経験がないと、うまくいかない仕事だ。
その次はあちこちにある鴨居を入れてもらう。まずは厄介な片引きの鴨居。その上の小壁に入っている貫に立つ貫を仕込みながらの仕事なので、一日に1〜2カ所くらいしか進まない。でも、手を抜いたら建具がちゃんと動かない。こういうときの多田君の動きにはあまり無駄がない。見ていてもいいものです。
通り庇の野地板を打つためには、破風板という両脇の飾りを入れねばならない。これが意匠的にはとても重要なので、ああだこうだと話しながら、寸法やカーブの具合を決めていく。決めるのは僕の仕事なんだけれども、板のきれいな木目を見ていると、ベニア板のようにカーブが決められない。取付けてから、何か違う。大屋根にむくりをつけられなかったので、通り庇にもむくりをつけず、直線でやろうとしたのだが、展示場の入口近くから見ると、やはり、柔らかなカーブが欲しくなる。ごめん、やり直そう。
結局、ああだこうだと、2度も3度もやり直すことになった。削ってしまった柱は埋木をしてもらわねばならないし、あちこち削り直さねば納まらない。大いに多田君の手を煩わせてしまった。最初から図面で描いた通りにやればよかったのだけれども、木目を見て感覚が狂ってしまったらしい。本当にごめんなさい。
大いに反省。
(さのはるひと)
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