京北合併記念の森は、わが木工チームが研修棟を建設している森のことです。20年ほど前にゴルフ場開発でブルが入り、計画が頓挫してそのまま放置されたままの京都市有林268ha、この山を京都市はどう見ているのか、林学者として元京大フィールド研教授の竹内典之氏はどうしようと考えておられるか、地元の林業家はどう思っているか、環境活動家はどうとらえているか、市民はこの森についてどのくらい知っているのだろうか?いろいろ関心があって、学校の市民講座でシンポジウムを企画した次第です。
シンポジウム第一部は竹内氏の基調報告「日本に健全な森をつくり直すために」:
かつて日本の森は伐採、荒廃、造林を繰り返してつくってきたこと、今日、手入れが行き届かない森が増加し、林業が危機的状況にあることを指摘、今後は、真の産業として林業を再生しなくてはならない。その実現のために、山側では、放置林に手を入れて長伐期で大径木を育てること、町側では、森を生かす木造のスタンダードを確立すること、中間では、流通を明確にすることが求められる。
基本的に、森林を救うのは林業だという見方ですね。経済行為がなくては森林(人工林)は維持されないと。
第二部は6名のパネリストによるコメントに始まりました。
◎構想の実現に加えて、生物多様性の保全に力を入れたい(三嶋陽治京都市林業振興課長)
◎森林整備モデルとしてと同時に、この森の古道に存する古墳などの歴史的文化財や京北の生活文化資源を保全し、市民に触れてもらう(塔下守林業研究会会長)
◎林業が抱える課題を克服するためにも、この森を通じて広く京都市民が山や林業について知ってもらうことに期待したい。(吹上弘之京北森林組合参事)
◎企業の社会貢献活動としての環境マネジメントを指導してきた中で、まずフィールドの調査を行ってからその山の自然に沿った形で環境保全を考えている。この森を市民にとって意味のある総合的な環境学習のフィールドとして生かして欲しい(西本雅則いきもの多様性研究所事務局長)
京都市では、この森の利用構想において、基本コンセプトは、「環境共生の森づくり」のモデルとして市民や民間活力の活動に期待している。が、林業家の見るところ、これまではこうした一般市民の活動はまだまだちょっとした体験学習の域を出ず、森自体の健全化にはほとんど効果が見られない。結局のところ、森林の健全化には、林業のプロの手によるしかないと。しかしながら、山はプロに任せておけばいいということにはならない。市民はつとめて山に関心し、折に触れて山に入り、そこで直接手を下さずとも、観察し、学ぶことがとても大切だ。
会場からこれからの時代、われわれにどんな建築の仕事があるのか?と、学校の学生君から質問が出た。こうした環境共生という制約は、逆にこういう問題に応えた建築を生かせるチャンスだと思って励むべきだ(神吉氏)。竹内氏の話しにもあったように、現在こそ、森を生かす木造建築の基本的なスタンダードが真剣に考えられなくてはならないのである。 (さのはるひと)
シンポジウム第一部は竹内氏の基調報告「日本に健全な森をつくり直すために」:
かつて日本の森は伐採、荒廃、造林を繰り返してつくってきたこと、今日、手入れが行き届かない森が増加し、林業が危機的状況にあることを指摘、今後は、真の産業として林業を再生しなくてはならない。その実現のために、山側では、放置林に手を入れて長伐期で大径木を育てること、町側では、森を生かす木造のスタンダードを確立すること、中間では、流通を明確にすることが求められる。
基本的に、森林を救うのは林業だという見方ですね。経済行為がなくては森林(人工林)は維持されないと。
第二部は6名のパネリストによるコメントに始まりました。
◎構想の実現に加えて、生物多様性の保全に力を入れたい(三嶋陽治京都市林業振興課長)
◎森林整備モデルとしてと同時に、この森の古道に存する古墳などの歴史的文化財や京北の生活文化資源を保全し、市民に触れてもらう(塔下守林業研究会会長)
◎林業が抱える課題を克服するためにも、この森を通じて広く京都市民が山や林業について知ってもらうことに期待したい。(吹上弘之京北森林組合参事)
◎企業の社会貢献活動としての環境マネジメントを指導してきた中で、まずフィールドの調査を行ってからその山の自然に沿った形で環境保全を考えている。この森を市民にとって意味のある総合的な環境学習のフィールドとして生かして欲しい(西本雅則いきもの多様性研究所事務局長)
◎都会の景観保全は規制が有効であるが、農山村の場合には支援が必要だ。京北の家はもちろん、畑や庭、山の木まで、生活文化のあらわれであり、これを次世代につなげていく手伝いを考えて行きたい(神吉紀代子京大准教授)
◎環境とか水源確保とか、いろいろな森林の機能が言われる中で、基本は森林が土壌を豊かにすることだと考えている。日本の森林の特色のひとつは、荒された土地でも、森林は自然に自分で回復していくところにある。ただし、近年は松枯れや鹿の害などがこれを阻んでいる(竹内典之京大名誉教授)
◎環境とか水源確保とか、いろいろな森林の機能が言われる中で、基本は森林が土壌を豊かにすることだと考えている。日本の森林の特色のひとつは、荒された土地でも、森林は自然に自分で回復していくところにある。ただし、近年は松枯れや鹿の害などがこれを阻んでいる(竹内典之京大名誉教授)
京都市では、この森の利用構想において、基本コンセプトは、「環境共生の森づくり」のモデルとして市民や民間活力の活動に期待している。が、林業家の見るところ、これまではこうした一般市民の活動はまだまだちょっとした体験学習の域を出ず、森自体の健全化にはほとんど効果が見られない。結局のところ、森林の健全化には、林業のプロの手によるしかないと。しかしながら、山はプロに任せておけばいいということにはならない。市民はつとめて山に関心し、折に触れて山に入り、そこで直接手を下さずとも、観察し、学ぶことがとても大切だ。
会場からこれからの時代、われわれにどんな建築の仕事があるのか?と、学校の学生君から質問が出た。こうした環境共生という制約は、逆にこういう問題に応えた建築を生かせるチャンスだと思って励むべきだ(神吉氏)。竹内氏の話しにもあったように、現在こそ、森を生かす木造建築の基本的なスタンダードが真剣に考えられなくてはならないのである。 (さのはるひと)
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