今年もいよいよ暑くなり、1年生は木造住宅の設計を行う頃になりました。昨年から、6戸からなる一団の住宅地のまちなみをグループごとに方針を決めて、それに従って個々の家を設計して行こうという趣旨で進めています。今年も生徒たちの意見で、やってみようということに。ワークショップの結果、5つのキーワードのもとにグループが結成され、8日、それぞれのグループによるまちなみルール発表が行われました。
1<環濠集落> 敷地の外周に堀をめぐらし、水とマッチした落ち着きのあるまちなみをめざそうというもののようだ。イメージ事例としては、五ケ庄や上賀茂社家町などが紹介されている。
-1 水野流れを身近に感じられる
-2 清涼感あふれるまち
-3 和風建築が映えるまちなみ
-4 キーワードは「やすらぎ」
→う~ん、このチームに関しては、道路側に堀をつけてやるという条件にしてやろうか。
2<道路に開かれた家なみ> 境界線に塀を設けず、オープンに、かつ一体感のあるまちなみを形成したいというもの。イングランドやノルウエーの町並みがイメージとして紹介されている。
-1 家を道路側に寄せる
-2 屋根の色を合わせる
-3 個々の家の形状に縛りを設けない
→これは郊外型の住宅地のはずなんだが、...。
3<近隣のコミュニケーション> 家の間の空間を工夫することで、お互いのコミュニケーションを取りやすくしたいというもの。
-1 向かい合った場所に庭を設ける
-2 塀は低くする
-3 「見せたくない」エリアはプライバシーを守れるようにする
-4 玄関のまわりを広めにとり、コミュニケーションの場とする
→守るところと開くところとの兼ね合いが難しそうだね。
4<縁側のある風景>縁側を活かし、縁側が似合う家をつくることで、魅力的なまちなみを形成しようというもの。
-1 縁側を必ず設ける
-2 屋根を揃える
-3 一体感を持たせる
-4 縁側は家族間で楽しむものであると同時に、近隣間のコミュニケーションの装置として考える
→縁側は北側にも設けないと、風景として見えて来ないね。工夫がいるなあ。
5<現代のトトロ街> 木をたくさん植えて、森の中のまちにするというもの。
-1 境界線上に大きな樹木を植える
-2 境界には生垣を植える
→家の形状に関しては、自由ということだね。
と、まあ、こんな具合でした。これを受けてどんな住宅の設計案をもってくるのか、楽しみです。みなさん、がんばってください。 (さのはるひと)
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建築科一年のカツヒロです。初めまして。授業の中で1年2年が合同で行うという授業が後期にあり、「建築概論」という名称になっていますが、建築業界で活躍されている卒業生の方によるミニレクチュアと、2年生グループによる研究発表とで構成されているとてもユニークな授業です。先日、最後のグループの研究発表が終わり、すべてのプログラムを終了しました。とても楽しみにしている授業で、これで終わりとなると、ちょっと淋しいものが、。でも、来年もあるので、また楽しめるのはいいですね。
今年の授業を振り返って、簡単に紹介します。
先輩たちによるミニレクチュアは、6回、色々な分野の卒業生の先輩が来てくれました。副理事長の社会人心得からはじまり、瓦組合青年部のみなさんによる瓦の施工あれこれ、建築デザイン事務所に勤務している先輩の作品紹介、工務店勤務の先輩には仕事の苦労話、大工さんにはすばらしい町家の仕事、営業をされている先輩には自社の家づくりの魅力など、どの話も面白かったです。もっと聞きたいですね。
毎回、話の内容をまとめ、質問や意見、感想を書いて授業後に提出します。先輩は皆の質問のひとつひとつに目を通してくれて、ていねいに質問に応えてくれました。
2年生によるグループ研究はずいぶん歴史のある授業ですが、今年は概論授業に組み込まれ、1回の授業時間に、2つの共通性のある研究内容についてプレゼンテーションを行うグループが意見交換します。バトルを交わすというところまではなかなか時間の関係で至りませんが、さの先生による解説が入ったりして、わかりやすく楽しく聞くことができました。
これも7回の授業があり、10のグループが発表しました。
1 「街区デザインの試み−1」 by 京都建築スクール
2a 「長崎VS神戸 歴史的町並みと都市の発展」 by スケタチーム
2b 「石川県の民家について」 by ウラチーム
3a 「美山の風景について」 by オノチーム
3b「美山のくらしと家並み」 by ヒラヤマチーム
4a 「町家の庭をつくる」 by フジチーム
4b「伝統家屋の設備を隠す工夫」 by ラチチーム
5a 「仕口の耐力」 by コバチーム
5b 「継手の耐力」 by クリチーム
6 「街区デザインの試み−2」 by 京都建築スクール
7 「内側グリーンスペース」 by カツヒロ・1年生チーム
ここでも、聞く側は、毎回、内容や感想、質問や意見を書いて提出するほか、この発表の評価もします。設計でもそうですが、皆の作品を皆で評価、採点するというシステムを行っています。不思議に、先生の評価と生徒の評価との間では、そう大きな差が出ないようです。みなさん、本当によく頑張ってくれました。僕も来年、負けないようにしっかりやってみようと思っています。
僕は1年生ですが、最後に前期の住宅設計課題の折にやってみた「内側グリーンスペース」というテーマを再度、仲間と追い掛けて、みなで考えたことを発表してみました。これらの成果は、グループ員で再度、まとめ直し、それぞれ、このブログサイトで発表する予定でおります。また、京都建築スクールチームによる研究は、京大の院生たちの設計研究と共に、本にまとめて出版される予定だそうです。楽しみにお待ちください。またお会いしましょう! (カツヒロでした)
スーザンことイナガキです。先日、さの先生グループの美術館設計の紹介がありましたが、遅ればせながらウオヤ先生グループの方の状況も簡単にご紹介します。
さの先生グループの宝ヶ池は敷地が広く、自分のやりたい設計に適した土地を選択したり、逆におもしろい土地形状を活かした奇抜な美術館を設計なんてことも可能でしたが、ウオヤ先生グループの三条高瀬川の敷地は広さが限られており、その限られた中で自分のやりたいことを上手く表現しなければいけません。いい加減にやると、その敷地に合うように建てただけの美術館になりまねません。
そこで、今回はウオヤ先生の提案の元、ヴォリューム、形態、テクスチャーという3段階に分けてグループ検討を進めていきました。毎回、グループの全員がそれぞれのテーマにのっとった模型をいくつか作成し、それらを持ち寄って、その案のいいところや、可能性などについて検討会を行い、他の人の案のいいところなどを参考にしつつ、段階を踏むごとに各々の構想の精度を向上させていきました。
ヴォリュームの段階では、どのような形や高さで立ち上がった建物がありうるかなど、形態の段階では、どのような屋根形状や階層の建物がありうるかなど、テクスチャーの段階では、どのような開口や材料の建物がありうるかなどということを検討しました。
写真はヴォリュームの検討時にみんなが持ち寄った模型の一例です。背が高いの、低いの、丸いの、四角いの、三角なのなどなど色々なものが出揃いました。
こういった設計構想の検討仕方は初めてで、何をしたらいいのかという戸惑いもあったし、毎回、模型を作ってこないといけないというのは結構大変でしたが、一人で考えていただけでは到底思いつかないような案に出会えたりしたので、個人的には結構楽しく検討を進めることが出来ました。
まぁ、本番はここからなんですけどね…。図面を完成させて、パースを描いて、プレゼン模型を作って、プレゼン資料作ってと、構想段階から抜け出せていないのにやらなきゃいけないことはまだまだ山積みです。最後の公表会まで、1ヶ月を切ってしまったので、はやく仕上げないと…。
最後に中間報告会でお目見えしたテクスチャー模型を2つほど紹介します。
1つ目はマツシマくんの作品彼らしい、レベル差を駆使した建物です。マツシマくんは美術館ではなくギャラリーを設計するとのことで、様々な高さの部屋で毎回違う作品を楽しむといった感じでした。ウオヤ先生もお気に入りの作品でしたが、マツシマくんの気が変わったため、この案はあえなくお蔵入りです。今は外観がガラリと変わってレンガ倉庫案で着々と設計が進んでいます。
2つ目はイナガキくん(自分)の作品です。
外観は洪水で埋もれた廃墟をイメージしているつもりです。展示品としては十二神将などの仏像と、画家の松井冬子さんの作品(自傷系の日本画)を展示します。新築の建物を作為的な感じは出さずに廃墟っぽくして、さらにそんな建物でも、仏像や日本画が生きる空間を創るという、何だか自分で自分の首を絞めているような気がしてならないのですが、何とか上手い突破口を見つけて、仕上げたいと思います。
(スーザンことイナガキでした)建築科1年のヤマグチです。設計デザインは好きで、今も美術館の設計を楽しんでいますが、木工はもう一つうまく行かず、う〜〜ん、あまり楽しめません。こういうのは苦手なんだろうか?と思い始めています。後期はめいめいが自分でデザインした椅子をつくっています。といっても、基本形は先生が示してくれているので、それを自分なりにアレンジするというものですが。授業の目的は、木工の加工精度を高めようということなんだそうですが、僕の場合、どうも思ったようにノコギリやノミが働いてくれません。でも、回りを見ると、進みが悪いのは僕だけではなさそうだけれども。
相変わらず、女の子たちは楽しそうです。でも、進み具合は僕とおなじくらいかも。やっと今日から刻み始めています。もう終盤を迎えようという頃なのに、今まで何してたんでしょうね。え?、デザインに時間を掛け過ぎたんですか。なるほど、それは出来上がりが楽しみです。何をやってもソツがないナカさんは、さすが、もうおおよそ組み上がってるようです。あれ?ナカさん、何を悲鳴あげてるんですか?何だか大きなミスがあったようですよ。大丈夫ですか?お疲れさまです。
こちらの方では、全体が組み上がって来ています。ひのきの板で構成されている椅子が組み上がると、こんな感じにできてきます。先生によると、ここからがデザインの領域で、自分の形ができてくるところが楽しみなんだそうです。僕もはやくそこにたどり着きたい...。隣でこつこつやっているマツシマさんは本当にきれいな仕事です。道具もマイツールで、いつも研いでいるだけあって、見事に切れています。こだわりというか、ものつくりに対する姿勢が違うなあ。
こちらはいつも明るく楽しい元気いっぱいのメンメン。彼らはグループでベンチをつくっています。学校のベランダに置くのだそうです。どうやら、骨組みが刻み終わったようで、組み立てて嬉しそう!なかなかいい仕事に見えます。これから板をはめ込む加工をして行くのだそうです。細かい仕事が残っていますね。頑張れ!
試験が終わったころに、みんなの作品を並べて品評会をするんだそうです。初めての椅子づくり。何とかちゃんとつくって、自分の部屋で使おう。 (普段は寡黙なヤマグチでした。)
さのです。お久しぶりです。このところずいぶん忙しくて、ブログの更新ができませんでした。あっという間に冬休みに入っています。設計演習は休み中に補講として、1年生の最後の課題である美術館の中間発表をしました。今年はウオヤ先生と敷地を変えて2分しています。ウオヤ先生は都心の三条高瀬川の敷地、僕の方は宝ケ池公園で敷地を各自探して来るというものです。何人かに設計を紹介してもらいましょう。
ナカチャンです。宝ケ池に面した山の頂上付近に、昆虫や動物の展示館を設計しています。アプローチを楽しむようにつくりたいですね。1階はRC造、2階を木造という混構造で考えています。周辺の樹木と建築が絡み合うような設計にしたいな〜と。前回の草案批評の折に、先生にぼこぼこにされて、発表前日に新しい案をつくってきました。(え〜〜ん、今日もぼこぼこに!(T_T))
さの:ナカチャンの設計は1階をRC造、2階を木造として、平面も断面もよく考えていますが、ボリュームを抑えようとして、全体としてやや窮屈な感じがします。もう少し空間の広がりを生かしてみてください。造形としては、等高線や山の面の変化をどう読み込むかにかかっていますね。この設計は、等高線はそこそこ拾えていますが、肝心の軸線が山の勢いとずれていて、ちょっと不自然な印象があります。自然に沿って、飽きのこない愛される建物を目指して欲しいです。
セキです。美術館の課題の話が出たとき、まっさきに浮かんだのが井上直久さんの美術館でした。井上直久さんの個展に何度か行く機会があり、その世界感がとても好きでした。宝ヶ池の敷地に、井上さんの「イバラード」を自分なりに表現したい!
私が気に入っているイバラードの景色のひとつに、島の周りに海が層状に重なっている「多層海」というものがあります。まず、エントランスのエレベータで多層海を表現してみようと考え、ガラス張りのエレベータの周りを三層くらいの水面ができるように水槽を配置しました。
多層海のエレベータで2階の高さまで上ったら、美術館の建物までイバラードの「市電」に似た8人乗りの小さな乗り物で移動します。
そのまま美術館の建物に入り下車すると、停留所の前に美術館の受付があります。
展示ゾーンはイバラードの町並みを表現したようなものにしたいと考えていますが、
まだまだあいまいのイメージのままなので、これからどんどんイメージを固めていかないと!
先生にも指摘されましたが、正面のデザインもまだだいぶイバラードの雰囲気とはかけ離れています。自分なりにもっともっとイバラードの世界をかみくだいていかなくちゃ!
図書館で借りていた井上さんの画集を引き続き借りようと思い、再貸し出しの手続きをしに図書館へ行ったら、返却日が3日過ぎていて、ペナルティを課せられて再貸し出しできませんでした〜…(T_T) 冬休み、どっぷりイバラードの世界に浸かって頑張っていきたいです。
まだ年賀状もクリスマスカードも書いてない〜…
さの:セキチャンの設計はアニメの宮崎駿作品に出て来る世界です。多分に未来的でノスタルジックな世界をいくぶん乙女チックに描いたイバラードなる物語風景の美術館。きっと未来は文明が滅びて、人間はずっと自然界の掟に従順に、つつましやかに棲息していることでしょう。現実世界に建てるのだけれども、そんな廃墟の、しかしバラ色の世界にもっと浸っていいのではないでしょうか。
にっしーです。車いすでも上がれる緩やかなスロープを巡らした美術館を設計しています。周辺に自然がいっぱいあるので、閉ざされた空間にするのはもったいないと思い、スロープに窓を大きく開けて、自然との距離を縮めようと考えています。1/3ほど上がったところに第一展示室、2/3上がったところに第二展示室、上がりきったところに池を望めるバルコニーと喫茶室を設けています。スタッフ関係諸室は中庭に面して処理しています。宝ケ池では、南側から見る池の眺めが気に入っています。冬休みの間にこの案をもっと煮詰めて行くつもりです。
さの:なかなか素晴らしい構成と感心しています。スロープはギャラリーを兼ねるのではなく、周辺の豊かな自然を眺め、気を落ち着かせて2段の展示室に向かうという設定は素直でなかなかいいと思います。池に向いた正面のデザインを楽しみにしています。
ノンちゃんです。私の美術館は、バレーボールの展示館です。大きな空間に曲面のパーテーションがあって、その中にいろんな展示や映写室が入っています。まだ外観を決められません。どんなんがいいんかな?
さの:ブースの一つに入ったら、バレーボールの選手になってコートに立って、まさに相手からアタックを受けてボールがすごい勢いで飛んで来る、というような映像が見られたら面白いだろうな!逆に、こちらからトスを受けて、高所から相手コートに強烈なボールを打つというリアルな映像が見られたら、気持ちいいだろうなあ!選手の額に小型カメラを取り付ければいいのだから、案外簡単にできそうだ。そんな展示館、つくって!
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