忍者ブログ
| Admin | Write | Comment |
[学校内のあれこれをお伝えします!]
2024/11. 10  11  12  13  14  15  16  17  18  19  20  21  22  23  24  25  26  27  28  29  30 
[14]  [15]  [16]  [17]  [18]  [19]  [20]  [21]  [22]  [23]  [24
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

 udegi10061.jpg

建築科2年、さぬきのじゅんです。今週から後期授業が始まりました。木工チームは、腕木耐力試験の最後、ダボ仕様版を実験します。腕木と肘木を二段に重ねて、それを幅45mm厚さ15mm高さ60mm、上下に30mmずつ食い込む角ダボ4カ所で留めています。前に作成した栓は、こしらえるのに大変面倒なのと、断面欠損が大きいという理由で、通常のダボで実験してみようということに。
ちょうど今日は後期にある構造実験の授業ですので、授業としてクラス全員が見ている前で実験を行いました。

udegi10062.jpg

いつものように、イヌヅカ君がぐいぐいジャッキを押して行きます。あっという間に積雪荷重で決まる3kN、8mmほどの変位を記録。そして10kN、およそ1t の荷重がかけられ、およそ30mmの沈下。途中でパシッと大きな音が。サノ先生に聞けば、込み栓が折れた音とのこと。ダボでの水平方向の動きはほとんど見られません。ここまではぴったり、腕木と肘木がくっついています。20kNを超え、沈下はすでに70mmとなっています。いつ破壊してもいい状態だそうです。どこで破壊するか、予想してご覧、と先生。ん〜、やはり柱の付け根で断面積が変化するところですかね〜? 緊張が高まって、場内はし〜んとしています。ただ、ジャッキで加圧し、ぴしぴしという音が響いて、

突然、ばっかん!と、すさまじい音で破壊しました。一同、びっくり!何と、載荷点のボルトが、腕木を割ってしまっています。そうか、そこで壊れるんだ。破壊の衝撃で、腕木が肘木よりも9mmほど浮いていて、ダボが隙間から見えています。記録では、23kN、90mmの沈下でした。1mの腕木が9cmも曲がっているのですから、1/11radの変形、しかも曲げ破壊ではなく、引裂せんだん破壊によって壊れています。ひのきの曲げ耐力というのはすごいですね。これで、荷重の掛け方を、腕木の中央に通したボルトで引っ張るのではなく、実際の母屋が押すように、腕木の上端に掛けていたら、もっと高い数字となったはずです。

udegi1006g.jpg
 結果をグラフで出してみました。前回の栓(けやき 30*15*360mm 4カ所)よりも優れた結果が見られます。実際の腕木のつくり方として、このダボ方式でいいようですね。見事な試験体の製作をしてくれたTD君に、皆さん拍手!    

(さぬきのじゅんでした)





 
PR
DSCN1000.jpg 研修棟木工チームは連日、40本の丸太柱と格闘しています。もう穴あけ加工にかかってからずいぶんになりますが、まだ終わりません。ようやく穴あけが終わり、土台に差し込む柱脚の加工に入ります。

4寸角の土台はよしやまち町家の方で1年生が担当し、ほぞ穴と蟻掛けの加工をしていますが、それを受けて2年生がほぞと外側に回り込む部分を加工するわけです。これもなかなかたいへん。もう夏休みが目の前ですね。がんばれ、野郎ども!




DSCN1230.jpg そんな中、久しぶりの実験です。本日は筋交いの耐力試験。試験体はいつものフレームで、加力するジャッキを付け替えて、水平力をかけます。筋交いは杉材で、厚さ15mm、幅90mmを2枚、貫を挟んで中央をビスで止めます。圧縮筋交いとして設計、引張りは考慮しないものとしますが、実験で強度を確認します。

わが設計では、できるだけ貫構造としたいので、筋交いは初期的な剛性の確保に利用するもの。適当なところで座屈して力が抜けてくれる方がいいだろうと。

さて、引張りと圧縮を徐々に反復しながら強めていきます。









DSCN1233.jpg
引張り側では、1/120rad変形時で、荷重は2.4kNでした。これは同じ変形時の圧縮側の5.3kNにくらべて、半分以下の数字となっています。ビス1本で止めているだけですから、どんどん抜けていくのですね。釘で止めてやれば、もっとスムーズに抜けていくはずです。

画像は45mm(1/40rad)変形時のもので、下側の浮き上がりが12mmほどでした。













DSCN1234.jpg 圧縮側では、どんどん筋交いがたわんで来ます。40mmあたりで、中央の2枚の筋交いを止めているビスが抜けました。

画像は40mmほどの変形時で、下側で大きくたわんでいます。60mmほど進んだとき(およそ1/30rad)に、下のビスもはずれ、裏側の筋交いが破断、実験は終了としました。

最大耐力はビスが外れる直前のところで、8kNでした。下に実験結果をグラフにしています。ばらつき係数を乗じないで、壁倍率は圧縮側で2.7、引張り側で1.2となります。結果的に、壁倍率で2.0くらいはみてよさそうですね。


(さのはるひと)




sujikai0712s.jpg

































 udegi2.jpg

6月7日に行った研修棟の腕木の耐力実験をご覧いただいた方にそのつづきを。前回は成が120mmの腕木と枕、肘木を3段重ねていましたが、これを成を180mmに上げて2段にしたセットに設計変更し、再度耐力実験を行いました。この時に、ロードセル(荷重計)の係数を間違えて入力していたことが発覚、17%荷重を多めに拾っていたことになりました。前のものも訂正いたします。

f3fb45c7.jpeg

上はおよそ15kNをかけたときの様子です。1m伸ばした荷重ポイントで鉛直方向に58mm沈んでいます。前の実験では13kNほどですでに折れていました。まだ大丈夫のようです。右は力貫にφ12mmの全ねじボルトでアンカーしているところですが、座金が木材にめり込んでいる様子が見えます。

udegi219kN.jpg

19kNですごい音をたてて腕木が破断しました。前回は柱の中、込み栓のところからひび割れが生じていましたが、そこには込み栓による断面欠損もありますが、節の影響もあったと思われました。今回はその辺りに節が来ないようにしたこともあって、もっと奥の肘木と結んでいるけやき栓で折れています。
「先生、なしてここで折れてるんすか?」
「ここが一番断面が小さいところだからだろうね。」
「そっかあ。だば、木栓を通すのを止めて、角ダボにしたらどおっすか?」
「あり得るね。その方がつくるのも楽だよな〜。でも、けやきの栓は全体に力を受けていたよ。腕木と肘木を一体にして頑張ってくれていたということだ。角ダボにすれば最大耐力は上がるかもしれない代わりに、一体性は望めないので、それまでの剛性はそう高くならない。たわみも大きくなるだろうね。」

90babd0c.jpeg

前回の実験との比較をグラフにしてみました。鉛直方向の変形量(横軸)と荷重(縦軸)、青が今回の2段仕様、赤が前回の3段仕様です。

*2段の方が剛性が高い。設計荷重5kN時、2段は13mm、3段は28mmの変形。
*最大耐力は2段が19kN、3段が13kNである。
*両方とも変形が90mm辺りで破断している

というようなことが読み取れるかと思います。
これらの数字で強度を計算してみましょう。

1mの片持ち梁に10kNの荷重がかかっている場合、根元の最大曲げモーメントは10kNm

これを単純に腕木だけの断面45*180mmで受けているとすると、そこにかかる曲げ応力は

10*1000N*1000mm*6/45*180*180mm3=41N/mm2

となります。この値はかなりよいひのきの規準強度並みですね。これでも大丈夫でした。

さらに、断面欠損のある箇所では、断面は15*180mm*2ですから、ここでは

10*1000N*1000mm*6/15*180*180*2mm3=62N/mm2

となります。それでも折れてません。折れたのは19kNでしたから、その時には118N/mm2

もの曲げ応力がはたらいていたことになります。これはいくら強いひのきでも無理な数字でしょう。
つまり、それだけ肘木が助けてくれていたと考えられます。もし肘木が一体の断面であれば、成が2倍になりますから、応力は1/4になり、118/4=30N/mm2くらいということになります。
これからみると、肘木はすべてではないにしても、曲げ応力を半分くらいにはしてくれているとみられるでしょう。梁成で言えば、1.4倍くらいにしてくれているわけです。

(さのはるひと)



 



 kenshu01.jpg

杉の120角材の桁28本の加工を終えた木工チームの次の仕事はいよいい丸太の柱の刻みである。6月7日に京北から皮がきれいに剥かれた40本の杉丸太が届いた。5〜6.5mほどの長さが
あり、昨年の管理棟に用いたひのき丸太の柱よりも2回りほど太く、末口で135mm以上を確保してもらっている。中には通りの悪いものもあるが、もともとの趣旨が、間伐材のいいものも悪いものも、適材適所で使うということで、いいものばかりを使うというのでは林業家も困るだろう。

届いた丸太を並べて、皆で「木配り」。どの丸太をどこの柱にしようかと、番付を行うのである。
木配りのポイントは、

1 正面に来る柱をきれいに揃えたい→曲がり、太さ、節など
2 建具が付く柱は真っ直ぐで、寸落ちの少ないものを
3 長いものを短いところに用いて、余分を束に回したい
4 両端の腕木を受ける下屋柱は断面欠損が大きいので、太いものにしたい

というようなことだろうか。今回の貫で縦横に繋いだ構造からすれば、特に負担の大きい柱というものはなく、3の条件からすると、端の柱に太めの材が来ることになるが、このことは4の条件に適合する。

kenshu1.jpg

番付が終わったら、まずは芯墨を入れる。その時に、後で間違いが少なくなるよう、柱の立つ向きを記入しておく。今回は元口に北の方向を記入してもらった。番付を南面に入れて置くなど、とにかく、向きをきちんとわかるようにしておくことがとても大事だ。

次に、不揃いの根元をきれいにカット。カットされた面に新たに芯墨を入れてもらう。北もね。
その作業の後、いよいよ、貫やらつなぎ材の来る仕口、ほぞ穴を墨付けする。墨は昨年同様、べんがらの紅墨だ。後で落せるからね。墨付けは棟梁たるタダ君の仕事だ。それを図面を片手にした監督役のガッキーがチェックして、はじめてノミを入れられるという具合だ。

kenshu2.jpg

ひと月も前から、毎日放課後によしやまちの作業場でこつこつヅカ・タダコンビがなにやら作業していると思えば、研修棟の構造模型をつくってくれていたことが発覚!1/10のしっかりした模型が目の前に!すごいすごい、やったね!あちこちの間違いも目に入ってくるが、まあ、そんなことは大したことではない。一つ一つ削り出して部材をこしらえてあるので、たいへんだったろう。ヅカ君、タダ君、お疲れさま。そしてありがとう。

kenshu3.jpg
   軒回りを拡大してみる。外側の下屋柱で4mほどになるので、結構な高さがある。おそらく、実際に組み上がった実物を撮影しても、ほぼ同じ眺めになるのではないだろうか。


こうしてみると、一番下の貫(ボルトで柱の浮き上がりを留めるので、太い力貫となる)の高さが若干、高すぎるように感じる。ボルトは露出するので、管理棟と同様、束のようなもので隠してしまおうかと考えている。一番下に見えている土台は、そこに板が張られて、低い床ができることになる。休憩したり、おにぎりを食べたりしてもらうのだ。

(さのはるひと)




 
 udegi000.jpg

京北合併記念の森管理棟を作成した昨年に引き続き、今年の卒業制作木工チームは研修棟を製作します。管理棟は土壁で耐力壁としましたが、あずまや吹き放しの研修棟は筋交いで耐力をとることにしました。スパン6mの丸太小屋梁を2列の丸太の柱で受けます。雨除けにそこから1m外に跳ね出した腕木で軒桁を受け、軒の深さを1.5mにする設計になっています。

問題は2m間隔に受ける腕木の耐力です。丸太柱に差し込むために、桁を受けるところは75mmにしていますが、ほぞの断面は幅45mmが精一杯です。軒先に50cmほどの重たい雪が積もったとすると、1本の腕木にかかる重量は最大でおよそ1tほどになろうかと思います。単独の跳ね出し腕木では折れてしまいますので、絵に見るように、枕木と肘木を持ち送り構造として設計してみました。すべてを柱に貫通すとなると、柱の断面欠損が甚だしいので、真ん中の枕木は大入れとして抜かないことに。3本を4本のけやきの栓でくさび留めで一体化しています。さて、この構造がどれだけ持つでしょうか?さっそく、実験をやってみようということになりました。

udegi01.jpg

実際の大きさでは実験台に納まらないので、上半分をつくり、筋交いは半分を納めるようにしています。図面で見るように、鉛直変位と水平変位を計測します。固唾を飲んでいる中、油圧ジャッキを押して行きますと、荷重に応じて、順調に?下がり始めました。設計荷重の5kN時で沈下量はおよそ30mm、結構柔らかい構造です。さらに、10kNで54mmほどとなりました。

udegi12s.jpg

今度は筋交い無しでやってみようと、筋交いを外して、水平変位を取りながら、荷重を上げて行きます。5kN時では、水平変位が筋交い有りの場合の2mmに対して、無しの場合では、8mm。7.5kN時では筋交いありで4mmに対して無しでは14mmと、およそ3倍の変形があります。一方、鉛直方向の変位は7.5kN時では、有りが42mm、無しが43mmと、ほぼ同じとみてよい結果となりました。

どこまで耐えられるか?を探るためにも、どんどんジャッキを押して行きますと、時々、バキッとすごい音をたてながら、それでも耐力はじわじわ上がって行きます。これは奥の柱で腕木を止めている込み栓が折れた音のようです。ついに大きな音を上げて耐力がかなり落ちたので、ここら辺りで破断ということに。筋交い有りの最大耐力は14.2kN、そこでの鉛直変位は86mm、水平変位は14mmでした。

udegi02.jpg

実験を終えて、腕木をばらしてみますと、腕木と肘木は破断、込栓も破断していました。けやきの15*30の栓を30cm間隔に4本入れていますが、楔の食込みがかなり強くへこんでいます。結局、この3本のシステムでは耐力や変形性能は十分であるが、変形が大きすぎるようです。腕木と肘木の2本にして、それぞれ成を大きくして、180mmにしてみようということに。新たにひのきの材料を入れて、また試験体をこしらえることにしました。TD君、よろしく!

udegi04.jpg

最後に実験に加わったメンバーで記念写真です。みなさん、ご苦労様でした。また月曜日にでも新しい2本組みで実験をしましょう!   (さのはるひと  *数値は6月21日に訂正)




 
  • 京都建築専門学校
京都市のど真ん中府庁前で、創立60年の伝統を誇る小さいけれど真面目な建築学校です。ユニークで色々な経験を持った先生たちが揃っています。平成24年度入学願書受付中!
  • 最新コメント
[07/15 井上建築デザイン]
[11/22 キタオカ]
[06/15 これなが]
[06/15 これなが]
[05/03 馬場 裕]
  • ブログ内検索
Copyright © 京都建築専門学校 ニュースレター All Rights Reserved.
Powered by NinjaBlog
Graphics By R-C free web graphics  Template by Kaie
忍者ブログ [PR]