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[学校内のあれこれをお伝えします!]
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町家研究室byさの篇です。この春は町家研究室のあちこちでマイ町家改修工事が行われて、みな、大忙しです。京北の管理棟工事真っ最中の私も学生たちも、春休みはあちらこちらへ出稼ぎ?でたいへん。ちょうど京北の仕事が終わりにかかった頃合いに、東山区の長屋の改修となりました。京北の学生棟梁を務めてくれたラチ君が、ここでも大活躍です。ようやく、佳境に入り、完成が見えてきたあたりで、ブログ登場です。ブログは私の音戸山ブログにてご覧いただきましょう。

→音戸山


さのはるひと
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  インフルエンザ休校のために5月のよしやまち研究会が6月9日になりました。2年のゆ~すけです。3月にさの先生と一緒に中国華南に旅行しましたが、その折りに見て来た少数民族の木造建築の構法についての勉強です。

 彼らの貫構造として知られる構法は、その昔、わが国に「大仏様」の構造方式として移入されたものと類似しています。現在は少数民族の一であるトン族の「吊脚楼」と呼ばれる住宅や「風雨橋」の名で名高い廊橋、集会所である「鼓楼」の構法として見事な例を見ることができました。

 2007年の建築学会に出された論文(*1)をもとに、その構造や施工方法について詳しく知ることができました。鎌倉時代に輸入された大仏様の貫の構法とは違って、楔を用いず、穴よりもわずかに大きな断面の貫を丹念に通す頑丈なつくりである。材料はコウヨウザンという杉(ネズミサシに近い)であること、建方に際しては、村人総出で揺らしながら締め込んで行くと。

 研究会には旅行家ライターとして活躍されているカオリドンさんも参加。彼女はさらに奥地の貴州省のミャオ族やトン族の建築の写真をたくさん撮っているそうで、またいつか拝見したいものです。

 

 研究会後半は今年入学した二人の台湾留学生君たちが、台湾の住宅建築について解説してくれました。中国本土で誕生発展した漢民族による四合院形式が、山がちな島国である台湾では、開かれた三合院というかたちになっており、両翼の背後に分家の住居が並んで増えて行くという例を紹介、建物の外観上の特色ある意匠について、配置とともに風水の思想が色濃く影響していることを解説してくれました。

 

 次回6月30日は、中国人留学生のコ〜さんが中国から西方、インドまで旅行した折の写真を中心に、中央アジアの建築や人々の暮らしについて話してくれるそうで、楽しみにしております。 よろしくお願いいたします。            (青森出身のユ〜スケでした)

 

*1「中国トン族の杉による伝統木造建造物の研究: 第1報貫構造による鼓楼の構造と構築システム、 片岡靖夫、北守顕久、越智弘幸、豊田洋一、小松幸平:日本建築学会構造系論文集













 





 コバヤシです。お久しぶりです。僕の白いつなぎが見えますか?う〜ん、1年生のイナガキ君の方が大きく映っているけれども、まあいいか。連休には浜松の家に帰りたいので、それまでに荒壁を付けてしまいたいです。この日も放課後に頑張って仕事しました。夜8時過ぎまでかかってしまいましたが。

 さの:よく頑張ったね。ちゃんと小舞も編めているようだ。あれ?縦竹が貫の手前に来ているね。普通と逆に入っている。何故かな?もっとも、この方が片壁の場合、強度があるそうだ。(両面塗りの場合もこの方がちょっと強いらしい。)

 コバ:この方が上の既存の竹とうまく合ったからです。すべて塗り終えることができなかったので、明日、また続きを塗ります。大家さんがおにぎりを差し入れして下さいました。

 さの:それは素晴らしい。大家さん、きっと君たちの頑張りに期待してくれているんだよ。ちゃんと応えてください。
                         (早く浜松に帰りたいコバ)














 
 


 4月29日、学校はお休みです。さっそく、学生チームが小川通りの町家の改修のお手伝いに入っています。どれどれ?戸袋を外して添え柱を仕込んでいるのは、今年の一年生のタダ君。彼は元大工ですから、格好も決まっていますね。 頼んだよ。

 中を覗くと、隊長のコバヤシ君の指導のもと、1年生たちが小舞編みを手伝っています。これだけ人数がいれば、すぐにも出来上がりますね。よしよし。

 仔細に見ると、何だか貫の位置がいい加減ですね。もっと上下に離して入れてもらわねば、足元がふらつきます。上下にもう一枚ずつ入れてもらいましょう。えつり竹を柱に仕込むえつり穴という仕事をしています。このえつり竹にやや細い小舞竹を編み込んで行きます。

 彼らの足元を見ると、大舟に古土が練られています。これに新土と藁すさを混ぜて、荒壁土とします。次には荒壁塗りの報告ができそうですね。
                       (さのはるひと)











 まずは、この町家にとって大事な耐力要素である土壁を健全にしようと、壁を覆っている杉板を剥がしてもらったところ、やはり中はぼろぼろ、ほとんど水平力に耐えられる状況にはない。これからの作業にも危ないので、とりあえず、貫板を持って行って、仮筋交いに打ってもらった。  町家の場合、梁間方向の壁は入れやすいので、小舞を編み、土を塗り直してやれば、そこそこは大丈夫なのだが、桁行き方向つまり間口の方向にはなかなか壁を入れ難い。たまたま、この町家にはいくつか間口側にも壁が入っているので、それをきちんと固めることにした。いつものように、出窓の脇の戸袋の壁も土壁で固めることに。

  小舞やえつり竹、藁縄、藁すさ、練り土などを木村棟梁に頼んで持って来てもらい、ついでに、この町家の補強・修繕のアドバイスをいただいた。棟梁、来るなり、正面を睨んで、

>真ん中の柱が3寸近く沈下していて、大事な人見梁が困っている。これを揚げたいなあ。
>でも棟梁、その人見梁、柱にずいぶん食い込まれているよ。
>ずいぶんアリにやられている。そうか、これは米松だな。
>あちこちに米松が使われていて、その分、アリの被害が大きいようです。
>古い町家と思ったけれども、米松がこれだけ使われているのを見ると、大正〜昭和まで下るかなあ。  

中を覗いて、
>何とも不思議な木組みになっているなあ。織屋?にしても変だ。
>何回か改修されているのかもしれませんね。
>ミセの間はもともとどうなっていたのか、この框は後入れかな?
>二階のささら(床梁)がずいぶん低いので、もともと土間だった可能性もありますね。でも、敷地が傾斜しているために、北側の柱の足元が石垣になっていて、室内に見えてしまう。この部分だけは物入れになっていたかも。
>あちこちの納まりから見ると、最初から床が張られていたようだ。今回は土間にして使うのなら、框は取る?
>いや、ここは敢えて、取らずに残して跨いでもらおうと勧めているんです。
>床の変形を考えると残しておきたいけれども、それは変でしょう。お客さんは土間でそのまま入れた方が。
>でも、それでご覧になられた人に?が生まれて、そこから客と主人との対話が生まれるでしょう。便利さよりも、この家の健康を考えたという主張があり得るかと。

 北西の隅柱がほとんどアリにやられて、危ない状況にあります。棟梁、これをどうしたらいい?
>最小限の予算でやるのだから、添え柱としよう。内側に4寸角を建てて、外側に1寸板を建てて、ボルトで挟み込む。>なるほど。根絡みもそれに噛ませればいいですね。戸袋に入れる土壁のための貫はどうしよう?


>それも隅柱に穴を開けても効かないから、1寸厚の板を張付けて、それに貫を仕込めばいい。
 
 というようなやり取り。さすがに百戦錬磨の木村棟梁です。最後に、皆で記念写真。さあ、これからいよいよ改修が始まります。学生チームのまとめはコバヤシ君に頼みました。連休までに下地を終わらせましょう。 
  (さのはるひと)




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