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[学校内のあれこれをお伝えします!]
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  市民講座「木造の魅力」は今年で21年目になります。今年の第3回目はハートピア京都大会議室にて、5人の先生方にお越しいただき、京都の新景観対策と町家についてシンポジウムを催しました。

 まず、NPO法人京町家再生研理事長の大谷孝彦先生に、「町家と新たな町並み景観、現代を豊にする歴史の力」と題した基調講演をいただきました。海外の歴史的な町並み景観を紹介しながら、京都の歴史的な市街地において町家の風情がどう取り込まれていくべきなのか、町家の特徴である屋根や庇の水平性、かげり、また奥行き性、などなどの工夫と可能性について具体的に紹介。京都市が新たに掲げる景観政策においても、規制を生かすためには、市民の側からの運動が重要であり、町家保全、再生、また新たな町家デザインなど、京都の歴史文化に根ざした持続的創造を建築家の役割もそこにあると。

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 休憩を挟んで4名のパネリストの先生方による10分間のプレゼンです。

建築家吉村篤一氏は、特別立派な町家ではなく、通りを歩いていて気になる普通の町家の保存について、面白い提案をいただきました。気がついたら壊されてしまって、後からもったいない残念だと言い合う前に、何とか皆でこれはいい建物だと思ったら、例えばシールのようなものを勝手に貼っていくというようなことをしてみてはどうだろう?「勝手に京都遺産」みたいなシール貼り運動の提案ですね。
 
若き建築家魚谷繁礼氏は、町家が街区のおもてと裏を目に見えて結ぶ機能をもっていることに注目、通り景観を健全に保つ意味でも、裏に共通に広がる空き空間を活用することを種々のプロジェクトで提案。とくに、京都市景観まちづくりセンター主催で行われたコンペ「京都まちなかこだわり住宅2007」で実施された家にこめられた工夫を紹介。この家は後の討論の場でも、新たな町家として有効だと評価されました。

大工棟梁木村忠紀氏は、とにかく京都の町家というのは、安くできるよう、目立たぬようつくられたもので、技術的には江戸期に完成されている。木の扱いもろくに知らぬ建築家が似非(えせ)建築を自己表現のためにつくるから、町の景観が悪くなるのは当然だ。建築家はもっと勉強しなくては駄目だと厳しく糾弾。

フリーライター内藤恭子氏は、自身で学生たちとの町家改修に参加しながら、市民の多くは、「なんちゃって町家」に住み、自分の家が保存に値する家であるとは思っていないのではないか、そんな普通の古い木造住宅でも、修繕して住み続けるに値するものであることを、もっとわからせて欲しいと。そのためには、専門家も含めて、食育ならぬ町育が必要であるように思い、今後の雑誌記事にも出して行きたいと。

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 討論会では、予定されていた時間が押し詰まってしまい、目論まれていたいくつかの論点や会場の声も含めてあまり討論を尽くすことができませんでした。(司会者の裁量不足、申し訳ありませんでした。)ひとつは魚谷氏の提案した住宅が、伝統町家のスピリットを今に生かすものであること、また会場からの意見にも認められたように、地域ごとの規制は有効であるが、その境界付近では規制のあるなしでずいぶん違った景観が生まれつつあることから、境界付近では、緩やかな移行の工夫が必要であること、などなどが採り上げられました。

 せっかくのメンバーでしたので、ぜひまた機会を見つけて討論の続きを行いたく思いますが、皆さん、いずれもあちこちで話されている方たちですので、ぜひ、これからも続けて議論を展開して行ってもらいたいものです。ここでいただきました論点は、学校でも学生たちと話し合いながら育てて行きたく思います。
みなさま、年末に近い、多忙な時期にご準備ご出席いただき、ありがとうございました。
                                      (残念な司会のさのでした)


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