「稲荷山の家」は、退職された先生夫婦のために伏見区に設計した家で、すべて木と土壁でつくってみたところ、なかなか住み心地がよいと好評をいただいた。 建てるときにも学生たちに柿渋やべんがら塗りなどを手伝ってもらったが、その後も、塀のスタッコ塗りや柿渋塗りなどのメンテナンス、暮れの大掃除には学生たちに手伝ってもらっている。吹き抜けの居間にかかる丸太の梁の上にたまる埃を拭く掃除は、若者でなければできない。そんな家を設計した責任もあり、建てて終わる関係ではなく、こうしてお付き合いが続くのも悪くない。悪くないどころか、その度毎に、若い学生くんたちに住宅を見学させていただけること、家づくりで大事なことがどこにあるかを考えてもらういい機会になり、寛容なご主人に感謝感謝である。
昨年の暮れのことになるが、例年の大掃除のついでに、幾度も柿渋を塗ってきたために黒ずんだ縁側を若返らそうと、サンダーで表面を削る作業を行った。ちょっと広めの縁側は、農家風の家に無くてはならない空間であるが、洗濯物干しやひなたぼっこや月見、友人達との宴会など、おおいに利用されているようだ。柿渋は時折雨が吹き込んで濡れる縁側の杉板を保護するために塗っているが、直射日光が当たって、黒ずみ、どうもいい感じにならない。
表面を削り落とし、手でペーパーがけしてやると、馴れた白木になって、見違えるように。でも、このままでは心配なので、油引きをして保護してやろうと。エゴマ油を塗り、拭き取ってやると、濡れ色に。写真ではちょっと派手派手しいが、乾けば、落ち着くはず。すべての作業が終わり、これまたいつものようにご主人の心温まるごちそうをいただき、ともに楽しい時間を過ごすのでありました。いつまでもお元気でこの家と健やかにお暮らしください。 お手伝いいただいた学生諸君、お疲れさま。ありがとう。 (さのはるひと)
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