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[学校内のあれこれをお伝えします!]
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市民講座も今年は25周年。よく続いたものです。今年の最後はハートピアにて、平成の京町家についてシンポジウムを行いました。簡単に報告いたします。

「平成の京町家の暮らし〜省エネ時代の生活文化」

image002.jpg 最初に、平成の京町家の理論構築をされている京大の高田光雄先生から、基本的なコンセプトの説明がありました。
 「夏を旨とすべし」では、冬の寒さはこらえられない。といって、亜寒帯の西欧の家のように、高気密高断熱で閉じられた魔法瓶のような家というのも、京都には向かない。伝統の京町家の住まいは、それなりによくできていて、低炭素時代の家づくりには、おおいに学ぶべきところがあると。
 とくに、座敷の外側に中間帯として存する縁側やミセニワ(玄関土間)、通り庭といった環境調整空間と呼ぶべきしつらえを見倣うべきで、風通しや引き戸による空間の伸縮といった考え方とともに、平成の京町家の基本的な柱となっている。

 次に、11月にオープンした平成の京町家住宅展示場(下京区)に出展している3社から、モデルハウスの工夫について紹介がありました。学校の担当している伝統型モデルについても、工事の様子や、断熱の具体的な方策などについて、報告されました。断熱性能については、断熱材がほとんど使用されていない既存町家と、長期優良仕様以上となっているモデルハウスの中間ほどで、木や土、畳、紙などの自然素材に囲まれた落ち着きのある空間が持つ居心地よさ、また住みごたえを体験してもらうことに、意図があると。

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 休憩をはさんで、温熱環境に詳しい設計者の豊田保之さんから、土塗り壁を生かした高断熱の家づくりの例として、自然素材と伝統の落ち着いた意匠や庭の構成を生かしながら、最高度の省エネを実現させた「南禅寺の家」の紹介がなされました。

 昨年秋に完成し、この冬までの1年間の実際のエネルギー消費データも紹介、この家における生活のエコ度の高さが実証されました。


 次に学校卒業生の吉田玲奈さんによる、この秋に自ら設計施工された長屋の改修事例の報告「市中の山居で暮らす」では、吉田さん特有の魅力に溢れた家づくりが披露されました。

image007.jpg 吉田さんは昨年の秋に震災津波の被害を受けた東北を訪ね、そこで瓦礫の山を目の当たりに。「こんなゴミを出さない生活をしよう」と、自分で出したゴミは自分で始末できる生活を心がけているとのこと。
 今住んでいる長屋が寒いので、今度は断熱材も心がけて工事を。住人からも、とても快適だと聞かされて、やはりある程度の断熱は重要と再認識したと。
 完成してオープンハウスを行った際に来られた、この長屋に元住んでいた家族から、ありがとうと花束をいただいたのが、すごく嬉しかったと。いいお話でした。


 次に、住まい手さんを代表して、同志社大学大学院で京都の近代文化史を研究をされている樋口まやさんのお話。
 平成の京町家ということで、モデルハウスを見学、思っていた京町家とはずいぶん違っていたのに驚いたけれども、かつてお茶の世界で、外国人をおもてなしする立礼席という椅子座のお茶席を考案した京都人の文化を思い出したと。でも、伝統文化が大好きな自分としては、正座ができる家を望みたいと。

 京都市を代表して、担当部所である松田彰都市計画局住宅室部長から、住宅、環境、景観という3つの政策を受けるプロジェクトとして、平成の京町家にかける京都市の姿勢について紹介がありました。現在、2年間で認定されたのはまだ21件なので、これからもっと増えるように、展示場を活用して広報につとめたいと。また、展示場は創造的で個性あふれる魅力的なまちづくりの核として、崇仁地域の方々に期待されていると。

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 小休憩をはさんで、全員によるディスカッションを行いました。出展業者の方々からは、これまでのモデルハウスとは違い、テーマが個人の関心を超えた広がりをもつものであること、結果として、よい住宅モデルができていると実感していること、必ずしも余裕のある階層向けの住宅ではない基本性能で提案できることなどが語られ、京都市や研究者に一層の推進のための努力を望みたいという要望がありました。
 
 また、単に環境性能の高い家づくりに終始すること無く、環境共生のモデル都市として、京都のまちやまちの人々、木材が出て来る山や林、林業の方々や職人さんたちが見えてくるような住まい方を目ざしたい。そういう「つながり」の時代でもある。

 平成の京町家は新築住宅に関する提案であるが、京都の環境や伝統、景観、文化などを考えると、新築よりも、既存の町家などをうまく使っていく改修の薦めの方がより適合する。この点への視線をも含むかたちで活動して行きたい。

 その一つとして、既存の町家と、改修された町家の温熱環境評価比較が意味をもつ。豊田保之さんから、その評価について比較表を用いて説明がありました。

 参加者 127名 (内本校学生52名) 出演者スタッフ15名でした。

 ご登壇いただきましたみなさま、スタッフのみなさん、お疲れさまでした。
 ご来場いただきましたみなさま、暮にさしかかるお忙しい中、ありがとうございました。

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学校事務局のオチです。
12月2日(日)たいへん寒くなった日でしたが、大型バスを借り切って神戸方面へ見学へ行ってきました。
この秋の見学会は2年に1回このコースをたどっています。参加対象は全学科。なので普段はあまり交流のない他学科の学生さんともいろんな話ができる機会もうまれます。休みの日の眠い目をこすりながら、朝9時、参加者はバスに乗り込みました。

さて、約1時間30分バスにゆられて、ようやく最初の目的地の芦屋に着きました。アメリカの有名な建築家フランク・ロイド・ライトの設計である現ヨドコウ製鋼迎賓館『旧山邑邸』です。大谷石を使った国の重要文化財指定建築物を約1時間見学して回りました。

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新神戸トンネルを抜け、次ぎに向かったのは、現存する日本最古の民家と言われている『箱木家住宅 (箱木千年家)』(神戸市北区)です。この移動の間にバスの中、お弁当をいただきました。

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この民家は14世紀頃(室町時代)の建築ではないかとされ、長い間、生活状況や社会の変化に対応を繰り返しながら増改築が加えられ、1967年(昭和42年)に国の重要文化財に指定されています。暗い屋内で説明される先生方の声がひびきます。

そして最後の見学場所は小野市にあり、東大寺を再建した俊乗坊重源上人が建立した現存する数少ない建物である『浄土寺浄土堂』です。

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だいぶ陽も傾いてきて寒くなりましたが、参加者は熱心に先生の説明をきいています。
内部の木組みはたいへん見事なものでした。

そしてすべての見学を終え、15時30分頃帰路につきました。
後は運転手さん安全運転でお願いします。バスの中で、恒例の感想発表を。今年は山邑邸がよかったという人が多かったようです。大した渋滞もなく、5時過ぎに学校に到着しました。おつかれさまでした。
 
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こんにちは。森田です。平成の京町家住宅展示場KYOMOへようこそ。
伝統の町家と今日のモダン住宅の違い、共通点を見てもらう展示場です。
京都の3つの住宅会社がモデルハウスを出展しています。
ぼくたちの伝統型町家はまだ工事中です。
今日はがんばって断熱材を張りました。現場の様子をご覧下さい。
こちらです。
→http://pub.ne.jp/ondoyama/?entry_id=4647033

でも、実際に現場に見に来てくださる方がいいです。
僕たちは月木土曜日に作業してます。

ではまた。
もりた


建築科1年生の自由課題 「宝ケ池公園のアートギャラリー」で、各自の草案をスタディ模型で提示してもらいました。みなで思いついたことを話していきます。いくつか、紹介しましょう。

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Hi君 龍の天井画美術館

「敢えて、池の畔ではなく、駅からの街路上、街の界隈に龍の美術館を建てます」
「8角形の構造体に周囲を取り囲んで、下に降りてもらって天井の高さをとります」
「なるほど、8角形は蓮弁なんだな。確かに天井の高さはもっとも重要だ」
「周囲は付属の美術品を展示して、説明がつきます」
「龍は聖なる空間に描かれなくては。 俗塵との距離を取りたいな〜」
「入口をどうするか、考え中です」

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Iさん 緩やかな芝生公園に立つギャラリー

「芝生の中に半分埋もれていきます。大きなガラス面が欲しいです」
「ふうん、地面との関係はこんな風になるのかな? 黒板にスケッチ」
「シンプルな感じにしたいです」

AGTM3.jpg
M君の樹を包んだ美術館

「こんな感じにしたいです」
「こういう時は断面で設計するんだ。 黒板にスケッチ こんなかな?」
「まあ、そんなです」
「斜め壁にどうやって展示するかだな」
「平面計画が難しそう!」

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Tさんの園路を跨ぐ書道展示館

「池の中にエントランスとカフェがあって、二階から山に半分埋もれたギャラリーに渡ります」
「池の方は大きなガラス面があって明るく開放的、対して山側は暗くて閉鎖的です」
「なるほど。動線が難しそうだね。うまく使えるように計画をしっかりやってください」

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Ha君の猫足ギャラリー

「L字型の建物で、池側にピロティとなっています」
「この猫足がとっても面白いじゃないか」
「それはたまたま曲がってしまって、。。。」
「いやいや、こんなのもアリじゃないかな。動き出して来そうで面白い」
「面白いだけじゃ、すぐに飽きませんか?」
「だから、単純ではダメだね。L字をしっかりつくってください」

AGAN5.jpg
Nさんの食い違いギャラリー

「園路を取り込んでみました」
「ああ、きれいだね。いいじゃない」
「ありがとうございます。池側がカフェ、山側が展示となります」
「この大きな台形の壁の表現がもっとも重要だね」
「いろいろと考えてみます」
「屋根を軽く、壁を魅力的に。板をつかってみるのもいいな」


と、まあこんな具合です。面白い案が次々出て来て、楽しい批評会でした。これから平面計画を機能的にうまく行くように詰めてもらいますが、素直な面白さを壊さないように柔軟に対処して欲しいですね。次回は平面計画と構造計画をやってみましょう。      
                     (さのはるひと)







11月21日、先週に引き続き、概論授業における卒業生による職業紹介がありました。今度は意匠設計から、神戸で活躍されている高宮透さん。2005年の卒業になります。

DSCN1964.jpg

高宮君は学生時代から、個性的なデザインを根強く追い掛けていて、やはりデザインのよくできる数人の仲間の中でもとりわけ「巨匠」と呼ばれて、設計作品が出て来るのを楽しみに待たれていました。(半分は冷やかしでしたが。)
卒業後、京都の設計事務所につとめていましたが、寝る暇もないくらい忙しく働かねばならぬ事務所に嫌気がさして、退職、自分を見直すために、そもそも建築をやろうと思うにいたったガウディを見にバルセロナに向かいます。バルセロナに半年ほど住み、日本に帰って来て、温熱環境設計を得意とする設計事務所に意匠担当として勤め、このほど独立して自分の事務所で仕事を始めたところです。

神戸の面白い住宅の作品、バルセロナ時代の友人のためのカフェ。これはちょうどバルセロナに滞在していた森田一弥さんとのコラボ仕事なんだそうです。(写真)

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バルセロナのカフェ「うさぎ」

高宮君は照明計画を担当したとのことですが、スペインのアパートはこんな風にレンガの壁、レンガのボールト天井で、実にカッコいいですね。それを見事に森田さんの漆喰の磨きがスマートに生かしています。高宮君の照明は歴史的な遺跡を照明する仕方に倣ったものだそうです。

専門学校の学生時代の懐かしい作品も紹介しながら、後輩たちに丁寧にアドバイスをしていただきました。現役生徒たちにはいい刺激になったでしょう。心より感謝です。

今後の高宮君の活躍ぶりをおおいに期待したいです。なお、高宮君自身がブログで今日のミニレクチャーについて紹介していますので、そちらをぜひご覧下さい。

→http://t83kata.blog72.fc2.com/blog-entry-279.html


                               (さのはるひと)





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